1月18日、皇居・宮殿にて新年恒例の『歌会始の儀』が行われた。

「今年のお題である“友”の特徴は、身近なテーマで詠いやすい一方、親友や悪友、旧友などどんな熟語でも似た内容になりやすいことです。個性的な内容にするのが意外に難しいお題だった、と選歌をしていて感じました」

歌と預選者を大切になさる両陛下

 そう振り返るのは、歌会始の選者を務める『山梨県立文学館』館長の三枝昴之さん。天皇、皇后両陛下や皇族方のほか、約1万5000首の一般公募から入選した10人の和歌が披露された。

「歌会始の選を10数年担当していて感じるのは、さまざまな短歌大会とは異なる特徴があること。短歌に長く親しんできたことがわかる作品もあれば、逆に初めて作ったのではないかと思わせる作品もある。この層の厚さは、ほかの大会には見られず、短歌、そして歌会始が、皇室と市井の人々を結ぶ役割を果たしていると感じます」(三枝さん)

 歌会始の起源は明らかではないが、鎌倉時代にはすでに催されていた記録が確認されている。

「一般から募った詠進歌が披講されるようになったのは明治7年。皇室の方々にとって歌会始は、国民の生活を知る手段というだけでなく、ご自身が感じた季節や心の移ろい、日常のささいな出来事を、和歌を通して公にできる貴重な場でもあるのです」(皇室ジャーナリスト)

 優れた歌を詠んだ一般国民が宮中に招かれるようになったのは戦後のこと。前出の三枝さんも、選者として今年の歌会始に出席した。

「預選者(入選した作者)の歌が披講されると、両陛下は小さくリアクションしていらっしゃいました。歌と預選者を大切になさっていることが感じられる様子が印象的でしたね」(三枝さん、以下同)