オプション費用で150万円も追加に

 では、イメージと現実はどう異なるのか。金銭面のトラブルから聞いていこう。

葬儀社から最初に提示される見積もりは思いどおりの安い金額です。しかし式終了後の請求書では、見積もりをはるかに上回る額だったという例は何件も耳にしています」

 その差はなぜ生まれる?

「サービスの追加費用がかかるからです。例えば、最低限のプランで祭壇の飾りが少ないことに対し、『祭壇が寂しいので何かお供えしましょうか?』、家族以外の想定外の参列者が来てしまったときには、『火葬場までバスをご用意しましょうか?』と担当者に言葉をかけられ、慌ただしい中で『はい』と言えば追加。

 名簿にない参列者に受付で返礼品を渡せば追加になりますし、ご遺族への確認なしにサービスを加算されて事後報告というパターンもある。私の知る例では見積もりと実際にかかった費用の差額は、最高で150万円以上でした。

 金額に納得できず、裁判に発展した例も。リーズナブルなはずの家族葬が逆に高くつき、家族が亡くなった悲しさに経済的なダメージも加わるのはつらいことです」

 次は人絡みのトラブル。家族葬は比較的新しい形ゆえに、周囲の理解を得られないことも少なくない。

「想定外の参列者が訪れるのはそのためです。葬儀に呼ばれなかった人が葬儀後に『線香を上げさせてください』と次々自宅を訪れ、対応に追われることもあります。家族葬で簡単に式をすませたはずがフォローに手間や時間を要しては、本末転倒でしょう」

最後の見送りの式が最悪の思い出に…… ※画像はイメージです
最後の見送りの式が最悪の思い出に…… ※画像はイメージです
【写真】コロナ禍以降の葬儀に関する調査グラフ

 一方、葬儀社選びにもトラブルのもとが。CMなどで格安プランの家族葬をアピールしている“紹介業者”を利用する際には注意が必要という。

「CMを流している業者は葬儀社ではなく、電話やWEBで葬儀を仲介する窓口に過ぎないのです。

 紹介先を信じて家族葬を行ったら、従業員のマナーが行き届いていないなど質の悪いところに当たった話をよく聞くので、運が悪いと不快な思いは避けられない。紹介先をうのみにしないことですね」