発症しやすいタイプは? 当てはまれば要注意!

 卵巣がんは、乳がんとは違い、女性ホルモンの変動によって起きるものではない。

「すべてのがんは、細胞がコピーされたときに起こるDNAのエラーが原因です。このエラーは加齢とともに起こりやすくなるので、必然的に高齢になるほど発症しやすくなります。

 中でも卵巣は、月に1度の排卵によって卵胞という細胞が破れては修復するという大きな負担を繰り返す臓器。細胞にもエラーが起きやすく、がん化しやすいのです」

 排卵の回数が多ければ多いほど、卵巣がんのリスクは上がる。そのため、初潮が早かった人や、閉経が遅かった人、妊娠・出産経験がない人は比較的リスクが高い。

 ほかにも、発症リスクが高い人にはいくつかの特徴がみられる。

「1つは遺伝。これは卵巣がんの1割ほどの原因を占めています。特に『遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)』と呼ばれる遺伝子変異を持っている人は、乳がんと卵巣がんになりやすいという特徴があるのです」

 血縁者に乳がんや卵巣がんの人がいる場合は、一度、医療機関に相談したい。

「もうひとつは、検査などで『チョコレート嚢胞』が見つかったことがある人。これは、本来子宮の内側にあるはずの子宮内膜が卵巣にたまり、チョコレートのように残り続けるという子宮内膜症の一種です。

 卵巣がんの前段階になりうる病変なので、生理痛がひどい、排便時に肛門の奥に痛みがあるなどの症状がある人は婦人科で相談してみてください」

 卵巣がんの発症リスクが高い人をリストにまとめた。1つでも当てはまる場合は、要注意だ。

卵巣がんのリスクが高い人チェックリスト
□年齢が40代以降
□初経が早かった
□閉経が遅かった
□妊娠・出産経験がない
□卵巣にチョコレート嚢胞がある
□血縁者に卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がんの発症歴のある人がいる