喫煙者だからこそわかる部分と取材して気づいたこと

大阪市内の“箱型”喫煙所をレポートする山路徹氏。徹底した現場主義は健在だ(ジャーナリスト山路徹のYouTubeチャンネルより)
大阪市内の“箱型”喫煙所をレポートする山路徹氏。徹底した現場主義は健在だ(ジャーナリスト山路徹のYouTubeチャンネルより)
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 山路氏は「最初はシリーズ化しようとは思っていなかった」というが、全国各地で様々な動きがあることを知り、取材を続行。

 喫煙所を新たに整備し直した奈良県香芝市役所や、2025年に開催が予定されている日本国際博覧会(万博)に向けて路上喫煙を禁止する方針を打ち出した大阪市に足を運び、2月28日時点で6本の動画を発信している。

「香芝市では、灰皿が設置されている役所近くのコンビニに職員が集まることから、役所の屋上に喫煙所が再設置されました。大阪市は、2025年の万博に向けて市内全域での路上喫煙全面禁止にするという話を打ち出している。分煙対策として120の喫煙所を設けると言っているんだけど、これが上手くいけば、全国に大きな影響を与えるんじゃないかなということで、取材を始めたんですよね。

 喫煙所って、喫煙者のために作ってるみたいなイメージもあって、“何でそんなもんに金出すんだ!”って怒る方もいる。でも、『シリーズ “STOP!受動喫煙”』を始めてから改めて分かったのは、喫煙所は分煙のための施設。タバコ吸わない人たちにとっても、受動喫煙を防ぐための施設でもあるんですよ。

 僕自身は、特にヘビースモーカーではないんですね。1箱を2日ぐらいで吸うペースで、タバコがなきゃ生きていけないみたいなものではない(笑)。でも、タバコ吸う人の気持ちはもちろんわかる。タバコを吸ってると肩身が狭いんですよ、“タバコを吸って、人に迷惑をかけてるやつ”みたいにね。喫煙者が過剰に感じてる部分ももしかしたらあるかもしれないけれども、やっぱり社会の中で圧迫感というか、窮屈感を持って生きていると思います。

 今、多様性と言われる世の中ですけど、タバコもひとつの文化ですし、多様性のひとつ。1本のタバコのうち、6割以上が税金として取られているにもかかわらず、吸う場所はどんどん減っている。やっぱりしっかりと分煙対策がとられた施設を作ってもらいたいですよね。その上で、“歩きたばこをしない”といったルールやマナーを守って、吸う人も吸わない人も共存できる社会を作ってもらわなきゃいけないなと

 山路氏は喫煙者だが、決して喫煙者の意見だけを発信しているわけではなく、非喫煙者にもインタビューを行っている。同氏は「動画を発信するうえで、タバコを吸わない人の声を聞くことは必須ですよね」と語る。

「やっぱり吸わない人の気持ちが分かって、初めて吸う側がどうすればいいのかが分かるわけですから、吸わない人の話に耳を傾けること、そしてそれを伝えることは、吸う人間として大事だなと思っています。例えば、吸わない人は喫煙者とすれ違っただけでも、“この人、タバコを吸っている”と分かるといいます。吸わない人にとっては、それほどにシビアな問題なんですよね。

 繁華街などでは、夜だからいいやと思っているのか、スマホ見ながら歩きタバコという人もいます。そういうことがあると、タバコを吸わない人は嫌になっちゃうんですよね。喫煙者は、マナーには充分気をつけてほしい。人に迷惑をかけてまでは、僕も吸いたくないんですよ」