それが、近年では前出の森香澄や国山ハセン(2013年入社、2022年末にTBSを退社)らを筆頭に、男女問わず20代半ばから30代前半のアナウンサーが多く辞めていく状況になっている。もちろん、テレビ業界全体の地盤沈下が根底にあるのだが、この年代のアナウンサーの退社にはそれだけでは説明できない世代的な事情が存在する。

 現在20代後半から30代前半の彼らは、90年代前半から後半にかけて生まれている。遅くとも大学生までにはスマートフォンを持っていたデジタルネイティブだ。さらに、彼らが採用試験を受けていた2010年代は、人材への評価に新たな機軸が現れたタイミングでもある。

 ベンチャー企業を中心に、SNSのフォロワー数も評価基準にする企業が現れはじめたのだ。Facebookの友人の数や、Twitterのフォロワー数などが多いと、選考フローが大幅にカットされる選考形態も出現した。

 近年まで続いているものをあげると、インターネット広告代理店事業を営むサイバー・バズは「インフルエンサー選考」として「1,000いいねの投稿がある志願者は三次面接へスキップ」という特典がある。

 アイウェアの製造販売を手がけるOWNDAYSはSNSのフォロワー数が1万人以上の候補者に対し、優先的に最終面接を受けさせる「インフルエンサー採用」を実施し、採用後も“インフルエンサー手当”として各職種の基本給与に5万円を上乗せすることをうたっている。

 さらには2015年頃からは、大学のミスコンテストの協賛となった企業が候補者たちにPR投稿をさせて自社の宣伝に活用するなど、SNSのフォロワー数が金銭的な価値も持つことを学生のうちから体感してきたのが彼らである。

テレビ局側もアナウンサーのSNS活動を評価

 実際に2017年度にフジテレビに入社したミスキャンパスコンテスト出身の女性アナウンサーには、学生時代からフォロワー数が多かった自らのアカウントを局員になってからも継続して使用するという、当時としては異例の対応が取られたし、2018年度には地方局で、インフルエンサーだった大学生が局アナになるという初の事例も確認できた。

 彼らの入社後の仕事はテレビでアナウンスメントをするだけではない。今やSNS投稿も立派な仕事のひとつだ。局内でも当初はネット上の活動はサブ仕事のように見なされることも多かったが、徐々に風向きは変わってきている。