がんに良しとされる食材は数あれど、いちばんのキモは腸内環境を整えることだという。便秘がちの人は特に要注意だ。また、食材はもちろん、食べ方にも気をつけるとなお効果的。加えてメンタルケアも行って、全方位からがんを徹底ガード!

免疫力でがんの増殖ストップ『食事&生活習慣』編

がんは腸内環境の乱れと密接に関係しています。予防の観点で食事を考えるなら、腸活に力点をおくといいでしょう」(佐藤先生)

 石黒先生も口をそろえる。

「腸内環境がよくないと、免疫細胞は腸内の状態を改善する仕事で手いっぱいに。他の仕事をする余裕がなくなり、免疫機能の低下につながります。腸内環境を整えることはがん予防の中核ともいえるのです」(石黒先生)

 日常的に便秘や下痢を繰り返していないだろうか? おならは臭くないだろうか? イエスであれば要注意。これらは腸内環境が乱れている証拠だ。腸内環境が乱れていると、身体や臓器内で、軽度の炎症が長期にわたり続く慢性炎症が起こりやすく、免疫も働きにくい状態に。すると、がんのリスクも格段にアップしてしまうのだ。

「腸活で大切なことは、腸内細菌を育てること。最近では、腸内細菌が作る短鎖脂肪酸の重要性が指摘されています」(石黒先生)

 短鎖脂肪酸の中でも“酪酸菌”が作る酪酸が特に重要で、大腸内にがんが発生したとしても、酪酸が十分であれば、がんを抑制してくれるという。さらに酪酸菌は、全身の免疫機能もサポートしていて、まさに健康の要ともいえる存在。では酪酸菌を増やすには何を食べたらいい?

「酪酸菌は食物繊維やオリゴ糖をエサにして増殖します。なので、野菜や果物をたくさん食べるようにしましょう。日本人はもともと食物繊維を多くとる民族なのですが、近年は、日本人の野菜摂取量は右肩下がりで減っています。意識的に食べるようにして、十分な量をとってほしいですね」(石黒先生)

 さらに、加工食品は、すべてにおいて控えるべきだ。

「調理パンや袋入りのスナック、甘いデザート、清涼飲料水、カップ麺、レトルト食品や冷凍食品……これらを日常的に食べ続けると、生活習慣病やがんのリスクが増えるという報告が次々と報告されています。

 加工食品は便利ですが添加物も多いため、新鮮な食材を買って、自分で調理することが大切だといえます」(佐藤先生)

 目指すべき食事の内容はよくわかった。さらに取り入れてほしいのが、“食べ方”。