改良を重ねて生まれた『とちおとめ』『とちひめ』

かつては栃木初の独自品種である『女峰』という品種があり、改良を重ねて『とちおとめ』や『とちひめ』といった品種が生まれました。2008年には全国初のいちごの総合的な研究開発拠点となる『いちご研究所』ができ、そこから『スカイベリー』や『ミルキーベリー』、そして『とちあいか』が誕生しています。県やJA、生産者のさまざまな努力の歴史があって、今の“いちご王国・栃木”があるんですよ」(正子さん)

 高齢化でハウスをたたんでしまう農家も多い。県のデータではいちごの生産者数は平成23年から10年で約17%減少している。一方で、新規就農者の傾向としては、いちごを志向する割合が年々増加しているという事実も。

「ウチの近所でも若い方が新しくいちごの生産を始めることになり、地区の農家のお年寄りも“やっぱり若い人の作るいちごはいいね”なんて喜んでいます(笑)。私も麻美さんにいちごを引き継いでいますが、新しくネットショップを始めたり、いちごの加工品に力を入れたりと、彼女なりにいろんな挑戦を積極的にしてくれています」(正子さん)

 品種も人も、歴史のなかでバトンを引き継いでいく。未来を担う“次世代”がどう活躍していくのか……栃木のいちごにさらなる注目が集まる。

<取材・文/吉信 武>