今、教育現場に潜む問題とは何か。文部科学省が推進する教員発の魅力発信プロジェクト「#教師のバトン」の応援団も務める石渡氏は「給与の安さ」を指摘する。

「公立学校での教員の給与は『教員給与特措法』で定められています。しかし、残業代は月額給与の4%を『教職調整額』として支給するのみで、換算するとほぼ月8時間分程度ですずめの涙。

 SNSで発信された『#教師のバトン』の投稿では『時給100円あるかないかの残業代』と嘆く声もあり、教員の不満が噴出し炎上しました。

 授業準備や部活動、就業時間外にも保護者から電話やLINEでの問い合わせが相次ぐなど、民間企業であれば『ブラック企業』と揶揄されそうな環境も放置されているのが現状です。

 大学の教育学部出身者を歓迎する民間企業も多く、教員志望者低下による現場の疲弊は今後も加速すると思います」

 シンプルに「仕事に見合った給与を出すのが改善策」と石渡氏。小学校では英語やプログラミングが必修化され、ネットリテラシー教育の必要性も叫ばれるなど、本来の業務においても教員の負担は増えつつある。

 学校で働く教員も人間であり、彼らにも生活がある。「児童や生徒に寄り添う」という本分に余裕を持って臨める日は来るのか。よくも悪くも「聖域」としての役割を求められる教育現場での「働き方改革」が急務だ。

全国の10~20代1000人に聞いた『先生になってほしい有名人ランキング』

1位 櫻井翔 78票
2位 大谷翔平 52票
3位 カズレーザー 48票
4位 HIKAKIN 44票
5位 池上彰 42票
6位 イチロー 37票
7位 コムドット 34票
8位 阿部亮平 32票
9位 はじめしゃちょー 30票
10位 中田敦彦 26票

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)●大学ジャーナリスト。'03年より大学や教育問題、就職活動などの評論を発表。著書に『大学の学科図鑑』(SBクリエイティブ)など多数

(取材・文/カネコシュウヘイ)