インプット奴隷に徹するために

 インプット奴隷に徹するためには、十分な時間も必要。

「1泊2日だと移動だけでバタバタして、読書の時間が十分にとれずに終わってしまうことも。最短でも2泊3日くらいの日程を組んだほうがいいと思います。また、座椅子しかない和室だと、長時間の読書はなかなかしんどいので、本を読みやすい椅子と机があるかは最重要ポイントです。お酒を嗜む方の場合は、部屋に冷蔵庫があるかどうかも大事ですね。旅先の地酒をゆったり傾けながらの読書は、意外とはかどりますよ」

 持ち込む本にも、特に縛りはない。読みたい内容の本が読める量だけあればいい。

「普段読むにはなかなか胆力のいる“大物”に手をつけるのもいいですし、温泉にまつわる本を読んで、実際に温泉につかりながら知識を実体験として味わうのも楽しいですよ」

 ちなみに、『ゆる言語学ラジオ』初の書籍『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼』(あさ出版刊)が4月7日に発売される。言語学の楽しさに触れる入門書として、インプット奴隷合宿にもオススメだ。

目指すは女性版寅さん!?「プチ蒸発」のススメ

 目的をひとつに定めて短期集中する“縛り”を楽しむのが『インプット奴隷合宿』ならば、日常からの“解放”に快楽を見いだすのが『プチ蒸発』だ。温泉エッセイストの山崎まゆみさんは、何物にも縛られずに宿でゆったりとくつろぐ女性のひとり温泉旅を『プチ蒸発』と名づけ、その魅力を次のように語る。

「気の合う友達との旅行は楽しいものですが、スケジュールの調整に苦労をしたり、おしゃべりに夢中で旅本来の楽しさに気づけなかったりということも多いですよね。ひとり旅なら、気が向くままに動けますし、旅そのものに集中できます。普段の人間関係や日常の煩雑さから少し距離をおき、自分自身と向き合う時間をつくる『プチ蒸発』は、忙しい現代女性にこそ必要な旅の在り方かもしれません

 女性ひとりの温泉旅は今でこそメジャーになったが、かつてはあまり歓迎されなかった歴史があるという。

それこそ本当の“蒸発”ではないかと疑われたり、女性がひとりで泊まれるような施設自体が少なかった時代もありました。温泉宿などは1部屋に多くのお客さんを泊めたほうが利益率が高いので、団体客を入れてなんぼという宿側の事情もあったのだと思います。

 私が『おひとり温泉の愉しみ』(光文社刊)を出版した2012年は、女性のひとり温泉旅はまだハードルが高いといわれていました。この10年ほどで旅館側の受け入れ態勢が整ったこともあり、今現在は女性のひとり旅も格段にしやすくなりましたね」(山崎さん、以下同)

 とはいえ、ひとり旅に不安がある女性もいまだに多いかもしれない。『プチ蒸発』を楽しむコツはあるのだろうか。