あとひとつは『こどもエコすまい支援事業』。これは子育て世代に向けたもののようだが──。

「昨年秋くらいまで類する制度があったのですが、それが継承された形ですね。子育て世帯や若者夫婦を対象にしていますが、リフォームに関してはそれ以外の世帯でも補助上限30万円を受けられるので、対象の工事を行うようであれば申請しましょう」

 補助金は子育て世代だけでなく、介護を要する世帯にも多い。

「バリアフリーのリフォームの工事費は介護保険の適用で最大20万円分の工事ができます。ただ、あまり知られていないのが、自治体によっては介護認定を受ける前から近い金額を助成しているということ。

 ケガを未然に防ぐためにリフォームする場合に制度が利用できるか確認を」

 介護にかかわらず、高齢者向けの助成は各自治体にも多い。

「例えば東京都文京区では『文京すまいるプロジェクト』というものがあり、賃貸住宅などの大家が65歳以上の人を入居させた場合、謝礼金が出ます。

 入居者は希望により、見守り電球・緊急通報装置の設置、およびライフサポートアドバイザーによる支援が受けられます」

 電話詐欺対策としてAIで判別するアダプタの取り付けを補助する事業や、認知症の症状で見られる徘徊を見守るためにGPS機器を配布する自治体もある。

「三世帯同居や近居に必要な費用の一部を助成するものがあります。こうした施策は子育て支援もありますが、高齢のひとり暮らしで、何かあったときに発見できなかったということを防ぎたいという意図も。

 UR賃貸住宅にも近居割が適用されることがあるので、もし近居を考えている場合は確認してみましょう」

 上の表で挙げた医療系の所得控除は確定申告が必要だが、条件付きで対象者は広がる。

医療費控除は年間10万円を超えないと受けられませんが、所得が200万円未満の人は所得の5%を超えた場合も対象になります。定年後に所得が減った場合など、医療費が10万円に達していなくとも控除を受けられる可能性があることも知っておきたいですね。

 セルフメディケーション税制はドラッグストアなどで対象商品の薬を年間1万2000円超購入すると利用できます。目薬や頭痛薬、花粉症の市販薬も対象なので、多くの人が適用となる可能性があると思います」

 介護や医療の助成金では他にも確認しておくべきことがある。

「介護や医療などは、1か月の自己負担に上限が設定されていますが、合算した年額にも上限額があります(高額医療・高額介護合算療養制度)。1年間の領収書を保管しておいて、手続き漏れがないか見返すのもいいでしょう」

 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金や傷病手当金などに関して、風呂内さんは以前からあった制度にも注視する。

「企業の都合で休業した労働者のうち、その間に賃金がなかった方のための新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、コロナ禍の終焉とともに減っていくと思われます。

 ただ、コロナとは関係なく、何らかの企業の都合で休業した場合、会社側は平均賃金の60%を支払わなくてはならないという休業手当はもともとあったもの。

 傷病手当金もそうですが、コロナ禍でなくとも、本来もらえるものがある、ということは労働者側も認識しておくべきです」

 コロナ禍の影響が薄らいでも、困っている人のための制度がなくなるわけではない。どの制度についても、申請しないことには給付や助成は受けられない。まずは自分に該当する制度は何かをチェックしておこう。