低迷の始まりはあの職業ドラマ!?

 そもそも高視聴率男の木村拓哉にとって、最初の爆死作品はなんだったのか。かなつさんは『GOOD LUCK!!』('03年・TBS系)以降、木村拓哉ドラマの低迷が始まったと分析する。

『空から降る一億の星』('02年・フジテレビ系)までは「本当に面白い作品が続いていた」と前置きしたうえでこう話す。

「『GOOD LUCK!!』はANAの全面協力と聞いたときから不安を感じていましたが、蓋を開けたら案の定、という感じでしたね。空港とその周辺だけで話が展開するので、全然ワクワクしない。結局、予想以上のことが起きずに終わったドラマでした」(かなつさん)

 翌年には『プライド』('04年・フジテレビ系)、さらにその翌年には『エンジン』('05年・フジテレビ系)と、それぞれアイスホッケー、F1という特殊なフィールドで展開する作品が続き、「面白さも徐々に失速していった」とかなつさん。

「『プライド』に関しては、衝撃的な展開で知られる野島伸司さんの脚本ということで期待していたのですが、残念ながら野島作品らしくない内容でガッカリしました」(かなつさん)

 沖さんも「職業ありきの作品には魅力を感じない」と語る。その筆頭として挙げたのが『CHANGE』('08年・フジテレビ系)。地方の小学校教師だった木村拓哉が、あれよあれよという間に総理大臣になるという超展開のストーリーだった。

「木村さんが総理大臣になるという非現実的な展開のインパクトを、ストーリーが超えることなく終わった印象です」(沖さん)

 だからといって、普通の役を演じさせても木村拓哉のよさが出ないというジレンマがある。『アイムホーム』('15年・テレビ朝日系)では記憶喪失という付加要素はあるものの、いわゆる普通のサラリーマンを演じた。

「せっかく今までにない普通の会社員の役を木村さんがどう演じるのかが見もののはずなのに、みんなが見たいであろう、木村さんが輝く場面がありませんでした」(沖さん)