映画版『スラムダンク』はアメリカ上映がない

 そんな大谷が、特にハマっている作品が『スラムダンク』。日本ハム時代、寮の風呂の脱衣所には、『スラムダンク』の単行本が置かれており、ここで全巻読破して夢中になったという。

「井上雄彦さんによるバスケットボール漫画で、累計発行部数は1億2000万部以上。大谷選手は全巻を買いそろえていて、これまで何十回と読み返したとか。日本ハム退団時に『スラムダンク』のキャラクターのイラストを描き残したり、インスタグラムのストーリーでは漫画に登場する名言を引用したり。

 私生活をオープンにしない大谷選手にしては珍しく“偏愛っぷり”をアピールしています。同じく井上さんの作品で、車いすバスケットボールを題材にした漫画『リアル』も読んでおり、井上さんのSNSをフォローするなど、並々ならぬ思い入れがあるんです」(漫画誌ライター、以下同)

 過去にはインタビューでも井上作品について、

《面白いというより、本当にいいマンガで、感じるものがあるなって》

 と語っていた大谷。

 昨年12月8日には、スラムダンクの新作アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開。日本での興行収入は130億円を突破し、中国や韓国などのアジア各国でも大ヒット。だが、この映画はアメリカでの公開が“未定”となっている。

「実は、『スラムダンク』は日本国内の人気に反して、アメリカでは人気がほとんどありません。そのために、映画の公開予定はないそうです」

 アメリカでの人気がいまひとつな理由について、漫画評論家の島田一志氏に話を聞いた。

「『ドラゴンボール』や『ナルト』などは昔からアメリカでも人気ですが、共通しているのは“超能力バトル”や“SF”といった現実離れした要素があること。一方、『スラムダンク』は“超人”が登場するわけではなく、初心者の主人公が練習してのし上がっていくという、王道の“スポ根漫画”です。

 NBAやMLBなど、日常的に世界最高峰のプロスポーツを観戦できるアメリカ人にとって、リアリティーのあるスポーツ漫画は地味に見えてしまい、手を伸ばしにくいのでしょう」