あっちゃんがMCになれないのはBIG3とは何の関係もない

 BIG3が現役なのは確かですが、オードリーの例を見ればわかるとおり、上がつかえていてもMCになっているコンビはいるわけで、あっちゃんがMCになれないのはBIG3とは何の関係もない。ですから、BIG3からあっちゃんに直接的なお咎めがあるとは考えにくい。となると、テレビでテレビ批判をするというヤバい話ができるあっちゃんは、番組制作者にとっては使いやすい人材なのかもしれません。これからテレビ出演は増えていくのではないでしょうか。

 さて、あっちゃんを見ていると「時代を創る」とか「天下を取る」という言葉をよく使うことに気付きます。それくらいの気迫を持っているという意味でしょうが、「時代を創る」と「天下を取る」はある意味、正反対なのではないかと思うのです。「天下を取る」のであれば、いざという時に自分を守ってくれる味方を増やすため、意に染まぬことも受け入れなければなりませんし、それが嫌なら、圧倒的な実力で人々をねじふせなければならない。「時代を創る」というのなら、これまで誰も見たことがない、新しいことをする必要があります。歴史や時事ネタを書籍に基づいて紹介する「中田敦彦のYouTube大学」は、知識がない人に興味を持たせる第一歩としてはいい試みだと思いますが、自分自身で新しいもの、オリジナルなものを生み出しているわけではないので、このままでは「時代を創る」ことに近づけないのではないでしょうか。また、新しいものに拒否感を示す人というのは一定数いますから、あっちゃんが何か新しいことを始めたとして、すぐに高い評価を得られるとは限りませんから、忍耐力も問われることになるでしょう。

 あっちゃんを見ていると、大志はあるけれども、手段がぼんやりしているというか、どうしてもこれがやりたいという情熱に突き動かされているというより、人からどう評価されるかばかり気にしているような気がするのです。それが悪いと言うつもりはありませんが、「褒められたい」気持ちが強すぎると、肩書や権威で人を判断して、自分より弱い立場の人を軽んじて人がよりつかなくなったり、反対にちょっとの失敗をしたときに「このオレが失敗するなんて」とメンタルが再起不能なまでに追い込まれるというヤバい状態にならないとも言い切れません。心と体に気を付けていただいて、新たな武勇伝を期待したいところです。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」