即位後、初めてとなる園遊会はあいにくの雨で雷が鳴る場面もあったが、終始なごやかに会話を交わされていた。

「お着物と同色の帯締め、帯揚げのワントーンコーディネートをされているのがポイントです。淡い色に統一すると上品さ、高貴さがあります。“やさしさの中にある気品”が表れた雅子さまスタイルだと思います。全身がひとかたまりとなって輝きを放っている印象です」

外国の客人をお迎えする際の着物とは

 こう語るのはファッションジャーナリストの日置千弓さん。皇后になられて初めての園遊会。それまでにも外国の要人をお迎えする際などに、和服をお召しになっている。

「園遊会のお着物は、たおやかな水柄に、初夏の花で魔除けの意味もある花菖蒲が咲き誇っています。華やかで園遊会にふさわしい装いだと思います」(日置さん、以下同)

 2019年夏にトルコのエルドアン大統領を皇居でのお出迎えとお見送りをした際には、涼しげな着物を。

インドネシア大統領ご夫妻と皇居での会見に雅子さまはインドネシアの国花ジャスミンがあしらわれた着物で('20年7月)写真/宮内庁提供
インドネシア大統領ご夫妻と皇居での会見に雅子さまはインドネシアの国花ジャスミンがあしらわれた着物で('20年7月)写真/宮内庁提供
【写真多数】雅子さま、5年ぶり「春の園遊会」で見せた“和装コーデ”ほか

「秋の花の桔梗やなでしこの意匠には夏を惜しむとともに、お見送りするエルドアン大統領との名残を惜しむ意味も込められているのではないでしょうか」

 皇居にお招きしたウズベキスタン大統領との昼食会では瑞雲柄、アフリカ開発会議の各国首脳とのお茶会では花かご、と縁起物の吉祥文様の和装で。

「着物は柄によっては着る季節が限定される一方で、吉祥文様は通年着ることができます。外国のお客様をお迎えする際に吉祥文様のお着物が多いのは、四季を問わずに着られることがあるかもしれません」


撮影/JMPA(伊藤和幸)