漫談家としてのねづっちの力量

今年4月には『ねづっちのイロイロ~』に塙がゲストで出演
今年4月には『ねづっちのイロイロ~』に塙がゲストで出演
【写真】同級生と組んだお笑いコンビ『ケルンファロット』時代のねづっちがイケイケ

 応募してくる年代は小学3年生から90代まで。ウェブにも掲載し募集しているため、新潟、岡山、姫路、岐阜など全国各地から日々力作謎かけが届くという、

「常連さんもいますが、初めて投稿します、という方も毎週います。夫婦で考えるので仲よくなったという声も届きます」(立尾さん)

 毎朝ネタを作り、その日中に寄席でネタをかけ、客の反応を見る、というネタが循環する日常。

 月に一度、東京・歌舞伎町の『新宿ハイジアV-1』でライブ『ねづっちのイロイロしてみる60分!』を開催する。目を見張るのは、漫談家としてのねづっちの力量だ。

「ピン芸人になった当初は、ただうまいことを言う人で、漫談としては仕上がっていなかった。1年ぐらいたったら、漫談としてちゃんとできていて、エピソードトークで笑わせて、うまいこと言うだけじゃなくなった。謎かけに特化した漫談は唯一無二だし、努力したんだろうなと思いますね」

 と話す、前出・元TBSアナの浦口さんは、『ねづっちのイロイロ~』に通い続け、その成長を見守ってきた。月に一度、東京・下北沢でお笑いライブ『ショウゲキしもきたドォ〜ン!』を主催し、ときどきねづっちにも出演してもらっているという。

 5月15日、『ねづっちのイロイロ〜』に足を運んだ。定員60人の会場は満席で、「希望者はその3倍。抽選で選んでいます」(前出・関口社長)

 お決まりの衣装に、手にはスケッチブックと缶コーヒーとペットボトルの水。段取りが書かれたスケッチブックを最前列の真ん中に座る「平野さん」に渡し、「お礼です。いつもより甘めのにしました」とギャラ代わりの缶コーヒーを手渡す。このライブの、お決まりのオープニングだ。とはいえ、ねづっちも事務所サイドも、平野さんのフルネームや職業など属性はまったく知らない。

 ねづっちまで1メートルの至近「平野シート」と呼ばれるその席で、平野さんはねづっちの進行を助ける。もともと、舞台脇のホワイトボードで流れを確認していたが、いちいち視線が脇にそれてしまうという欠点があった。客席に来ていた漫才師『おぼん・こぼん』のおぼん師匠(74)が、「目の前のお客さんに持ってもらえば」と提案。今の形になった。

 ライブが始まったのは11年前。そのうち「10年ぐらいは通っている」という平野さんのフルネームは「平野泰三」さん。ねづっちと同じ1975年生まれの48歳、介護関連の仕事に従事している。

毎回同じネタがないし、時事ネタなので新しい。スケッチブックを持っているので、両手で拍手ができないため、左手で左太ももを叩いています。ねづさん自身もホームなのでリラックスしていて、お試しのネタをかけて反応を見たりしている、素晴らしい芸風ですね」とファン目線で語り、この会場を「謎かけの実験室」と呼ぶ。

 これまで休んだのは数えるくらい。次回6月12日(月)も来場予定で「ライフワークですね、気がついたら」。陰のスタッフに支えられ、ねづっちのライブは笑いで埋まる。