目次
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ー 老眼には逆らえないなんてウソ!
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ー 「見えづらい」には認知症リスクも
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ー 7割が改善!1000円札トレーニング ー 専門医が警鐘 “老眼の危ない誤解”

 老眼や近視は、一度なってしまったらもう改善しないものだと諦めてしまっていないだろうか。実は、老眼や近視の見えづらさはトレーニングで改善できるのだ。

老眼には逆らえないなんてウソ!

「誰でも持っている1000円札を使って簡単にできるトレーニングがおすすめです」と教えてくれたのは、二本松眼科病院副院長の平松類先生だ。1000円札の“透かし”の部分を見続けることで、老眼や近視でも見えやすくなるという。

 なぜそんな簡単な方法で、見えづらさが改善するのか。

「実は『ガボールパッチ』という世界で唯一科学的に証明された視力回復法を簡単に行えるようにしたのが1000円札トレーニングです。

『ガボールパッチ』で使われるのはぼやけたしま模様の図。これを毎日見続けることで、脳の視覚野が刺激されて視力が改善すると証明されているのです」(平松先生、以下同)

 平松先生は、約4年前にガボールパッチを初めて日本に伝えた人物。

「1000円札の透かし部分もガボールパッチと同様に輪郭がぼやけているため、これを見続けることで、脳が持つぼやけた画像を鮮明に補正する機能が高まるのです」

 ではなぜ、脳の機能を向上させると視力が改善されるのか。

「『物を見る』というのは目だけを使っているのではなく、目と脳の連携によるものです。まず、目で物の情報を拾いますが、その際はまだぼんやりとした状態。

 次に情報を伝えられた脳がいわば“手ぶれ補正”のような処理をします。その処理が正常に行われて初めて『見える』となるのです。ですから、その処理能力を上げれば見えやすくなります」

脳の処理能力を鍛えることで、ぼやけた画像を脳が鮮明な画像に補正してくれる(イラスト/伊藤和人)
脳の処理能力を鍛えることで、ぼやけた画像を脳が鮮明な画像に補正してくれる(イラスト/伊藤和人)

 つまり、1000円札トレーニングは、目の性能自体を向上させるのではなく、脳の処理機能をアップさせるというわけ。

 老眼で目を細めて見ようとすることも「できるだけ鮮明に見よう」としている行為ではあるが、無理やり目のピントを合わせているだけで脳は使っていないため、まったく別の行為となる。

「目ではなく、脳の処理機能を高めるため、老眼・近視の両方に効果があるのです」

 1000円札トレーニングは、早ければ1週間程度で改善効果を実感できるという

「疲れが出やすい就寝前にトレーニングをするのがおすすめです。やればやるだけ効果が期待できるので、早く視力をアップさせたい人は1日に何度かやるのがいいでしょう。

 ですが、毎日やることが大事なので、無理のない範囲で続けてください。年齢を問わず、約7割の人で見えづらさの改善が期待できますよ」