早く気づくために意識してほしいのが『音』

 膝の軟骨がすり減るとやがて炎症を起こし、関節が変形し、「変形性膝関節症」に。その主な症状は歩行時の膝の痛みと、水がたまること。この水には、軟骨を壊す酵素が含まれている。
 
よく『膝の水を抜くとクセになるので抜きたくない』という人がいますが、それは間違いです。取り除かないと炎症を繰り返す悪循環になる。放置すると関節がパンパンに腫れて関節はゆるくなり、変形も進みます
 
 そうなると関節が動く範囲が狭くなり、やがて膝がまっすぐ伸びなくなり、股関節も屈曲。背骨が曲がる原因にもつながる。
 
いわゆる『お年寄り』の典型的な歩き方です。これも最初は膝の痛みから始まる。背が曲がると背骨が圧迫されますから、気づかないままに骨折する『脊椎圧迫骨折』を引き起こすこともあります
 
 自分の足で一生歩くためには、膝関節の異常にいち早く気づくこと。そのサインとして、丸山先生は膝の痛み、腫れ、膝の熱っぽさなどを挙げる。平らなところを歩くのは平気でも、階段の歩行、特に下りで膝が痛む場合も要注意。
 
そういった症状が出るころにはかなり悪化しているケースもあります。もっと早く気づくため、意識してほしいのが『音』なんです
 
 膝を曲げ伸ばしすると、ポキポキ、バリバリといった音がすることがある。これは関節の中の滑膜という組織が引っかかる音で、音がすること自体は問題ない。ただ、この音が大きくなってくるようなら膝関節軟骨に異常が起きている可能性が高い。
 
 さらに、変形性関節症は複数の原因が絡み合って起こる病気のため、若い時にスポーツで関節を痛めている人や、祖父母や両親に変形性関節症を患っている人が多い場合も注意したい。
 
関節を痛めるケガではなくても、例えば靭帯にケガをした場合、関節には関係ないと見過ごしがちですが、加齢によって靱帯にゆるみが生じ、それが軟骨の傷みへとつながっていくケースも多い。また、変形性関節症の理由のひとつが遺伝だと考えられているんです
 
 では、膝関節の痛みを予防するにはどうしたらよいのだろうか。キーになるのは体重管理と筋力だ。まず、体重が増えればそれだけで膝関節への負担が増大してしまう。
 
危険信号の目安は、肥満度を表すBMIが25以上です
 
 体重を支え、関節にかかる負担を減らす足の筋肉も大切。
 
ここで注意したいのがスクワット。運動不足の人がいきなりハードなスクワットをすると、かえって関節を痛めてしまいます。おすすめはウォーキング。膝関節を守るポイントを押さえれば、1日15~30分でも効果は十分ですよ