習慣4:ヘルスリテラシーを高くする

「欧米ではがんが減っているのに、日本では増加傾向にあります。これはひとえに、がんへの理解が乏しいことが原因でしょう」

 例えば、タバコ。男性のがん要因の約30%を占めるが、喫煙者は多少減ってきてはいるといっても依然として高く、また、がん検診の受診率はOECD(経済協力開発機構)に加盟している30か国中、最低レベルだ。がんに対する意識が高いとはいえない。

「日本人は健康や医療についての知識や理解力(ヘルスリテラシー)に欠けるという指摘があります。実際、2014年に行われた調査では、『医師から言われたことを理解するのは難しい』と答えた日本人は44%に上りました」

 EU8か国の平均は15%だというから確かに多い。そのヘルスリテラシーに関する調査では、アジアを含めた15か国中、日本はミャンマーやベトナムより点数が低く、最下位に甘んじたという。

「病院から渡されるパンフレットや医師からの説明を適切に理解することができなければ、がんと戦うことは難しいと思います。セカンドオピニオンを求めたり、複数の治療法の中から自分で選ぶ場合もありますので、がんになると、高いヘルスリテラシーが必要不可欠なのです」

 日頃からテレビや雑誌のがん情報に触れて、基本的なキーワードや治療法は頭に入れておき、いざというときに慌てないようにしたい。

中川恵一先生●東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。一般向けの啓発活動にも力を入れていて、日本経済新聞にて「がん社会を診る」を連載中。
中川恵一先生●東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。一般向けの啓発活動にも力を入れていて、日本経済新聞にて「がん社会を診る」を連載中。
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中川恵一先生●東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。一般向けの啓発活動にも力を入れていて、日本経済新聞にて「がん社会を診る」を連載中。