日々の習慣を変えて15年間再発なしの健康体

「腎臓にがんが見つかった48歳までは、忙しくて睡眠不足で、食生活もぞんざい。冷たい清涼飲料水が大好物でした」と話すのは、船戸崇史先生だ。

「人間ドックで見つかったのは左腎に6cmの腫瘍です。ステージは1bですが、転移があればステージ4になる可能性もありました。『医者の私ががんになるはずがない』と、なかなか現実を受け入れられなかったですね」(船戸先生、以下同)

 信じられず、ほかの医師にCT画像を診てもらったり、関連する文献を調べ続けた。

「もし私が死んだら、妻や子ども、クリニックはどうなるだろうと次々と不安が押し寄せてきて、怖かったです」

 ショック状態から時間を経て、「神様が自分の身をもって治療法を探せと言っているのかも」と思えるようになったという。

「今までがん患者さんにしてきた治療法を自分で試せるいい機会です。患者さんたちの痛みや苦しみも体感できる。それで手術を受ける覚悟を決めました」

 腎臓がんは抗がん剤や放射線治療が効きにくいため、左腎を全摘出することに。

「今までは自分がメスを入れるほうでしたので、初めての体験に少しワクワクしました。でも術後に麻酔が切れると、まるで傷口に割り箸が入っているかのように、めちゃくちゃ痛かった(笑)。その痛みに懲りて生き方を変えようと決意しました。

 患者さんには『がん生活習慣病ですから、生活を見直して』なんて言ってたのに、自分の生き方には無頓着でしたから」

 生活習慣を見直したことで、15年間、再発していないという。船戸先生自らが実践した5つの習慣を教えてもらった。

習慣5:質のいい眠りで細胞を修復

 多くの研究から、睡眠が不足するとがんリスクが上がることがわかっています。睡眠中はさまざまなホルモンが分泌され、傷ついた細胞などを修復する時間帯だからです。

 まずは規則正しい生活で睡眠時間を維持しよう。そのうえで船戸先生が推奨するのが夜10時に寝て、朝6時に起きる「10-6睡眠」だ。

 しかし、仕事や不安、身体の痛みなどのストレスで、なかなか良質な睡眠をとれないことも多い。

「仕事量を減らしたり、不安が消えないときは睡眠薬を使うのも選択肢のひとつです」

 スマホの画面のブルーライトは眠りを妨げるので、就寝前には見ないようにしたい。