それを裏付けるように、TVerで再生回数の多いバラエティー番組はほぼ固定化されており、各番組にはコアなファンがいると推測されるものが多い。

“力が抜けた笑い”に支持が

「地上波では“たまたまやっていたから見た”という視聴者も多いですが、“見たい人が見る”というのが配信の特徴。朝日放送テレビ・テレビ朝日系列の『相席食堂』は視聴率はイマイチですが、配信の再生数はローカルバラエティー番組において1位になるなど、ここ数年、好調です」

 いつも配信で見るコアなファンがいるということ。

「プラットフォームが増えたおかげで、番組で入りきらなかった部分をスピンオフとして配信することもできる。だから、短時間のバラエティー番組が数多く制作されるのでしょう」

『相席食堂』の成功はいわゆるファミリー層による“コア視聴率”を重視するきっかけのひとつとなった。

 これからファンを獲得するには、視聴率にとらわれない“尖った”内容が必要。深夜枠などで実験的なものが増えるのかも。

「重要なのは、若手芸人の起用やスタッフの育成。千鳥も『相席食堂』がきっかけで “力が抜けた笑い”がさらに支持されるようになった。まだ知られていない実力のある芸人は多いので、チャンスともいえる流れでしょう」

 同様に、制作側も若手クリエイターが起用されやすい環境になりつつある。新感覚の芸人番組が増えて激戦になりそうだ。


きぬわ・しんいち メディア研究家。雑誌『TVガイド』やニュースサイト『ORICON NEWS』など多くのメディアで執筆するほか、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中