今後の評価は自分の行動次第

 弁護士の仕事に実直に取り組む諸橋さん。しかし一度経歴を公表した以上、今後ネガティブな評価がつきまとうおそれもあるが……。

「今後の評価は、僕次第だと思っています。僕がこの先真剣に生きる姿を見せ続けるしかないです。実際に、公表してから性格が以前よりも丸くなりました(笑)。自分の力でイメージをよくしなければいけないので、最近は笑顔も増えたんです」

 さらに発信を強化し、かつての自分と同じような境遇の人たちの励みになりたいという諸橋さん。YouTubeではジャーナリストの丸山ゴンザレスさんや暴走族『ブラックエンペラー』の元総長・蛯澤賢治さんらのチャンネルに出演し、自身の経験談を話している。

「いつか刑務所でも僕の体験をお話しさせていただけたらと思っています。読んでもらった方にはわかると思いますが、僕の本は元ヤクザの武勇伝ではありません。その逆で、これ以上ないくらいの恥をさらしています。どん底を味わった人間だからこそわかることがある。過ちを犯してしまった人に、『どこまで落ちても必ず立ち直れる』ということを伝えたいです」

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【写真】ヤクザ時代の諸橋仁智さん
諸橋仁智(もろはし・よしとも)●福島県いわき市出身。高校卒業後、覚醒剤に手を出しヤクザの道へ進む。薬物依存、逮捕を経験。平成25年に司法試験に合格。現在は弁護士としての業務の傍ら、自身の経験を活かした情報発信を各メディアで行う。『元ヤクザ弁護士』(彩図社刊 税込み1540円)

(取材・文/中村未来)