「3か月育児に取り組めば、育児が楽しくなるとされる」と長崎知事
「3か月育児に取り組めば、育児が楽しくなるとされる」と長崎知事
【写真】『育休革命』宣言した長崎知事

 こういった声について高祖さんは、

「言葉は悪いのですが、日本の社会が働きながら子育てをする人たちに対して、成熟していないのだと思います。この方たちの言っていることはよくわかります。理想としては、その家族に合った方法で休みを取れるのがいちばん。

 会社に対してこうしてほしいと交渉できればいいのですが、日本の企業は“こう決まっているから”とそのルールに自分が合わせていくのが当たり前になっています。横並び意識が強いから、育休取得も進まないんです」

夫婦一緒にやっていくべき

 また、もともとの考え方が会社ファーストで、家族ファーストではないことも育休が進まない要因のひとつ、と高祖さん。

“仕事が忙しいから”を理由にする人は、何がいちばん大切なのでしょう? ふたりで幸せになろうね、と結婚して夫婦になったんですよね。そして子どもを授かり、新しい家族のスタートなのだから、夫婦一緒にやっていくべきなんです

 自分が休んだら会社や同僚に迷惑がかかる、上司が育休取得にいい顔をしない……。よく聞く“育休取れないあるある”のキーワードだが、

「赤ちゃんがいつ生まれてくるか、という予定はわかるじゃないですか。そこに合わせて男性が育休を取るのと同じくらい大切なのが、職場でのチームワーク。

 スケジュールはわかっているのだから、その期間だけ単純作業はバイトを雇うとか、ほかの部署から応援を頼んでおこうとか。そういったことを考えないで、単純に1人減ったら大変、となってしまう。今は育休を取らせないというのがハラスメントです。会社や仕事に対する意識を変革していかなくてはいけない時期なのだと思います」

 高祖さんは、仕事が第一、と考えている人のためには山梨県のような強制的に休みを取らせる“荒療治”から始める必要もあるのかな、と話しながらも、制度を考えている企業のトップや政治家にもこんな言葉を。

「極端な話、子育てをしたことがない人たちが、机上の空論で制度を考えているのかなと思ってしまいます。だから実際に育休を取ろうとする人たちから“これじゃない”という声が上がるのでしょう。

 そんなトップに立つ人たちが引退し、今の若者たちとの世代交代が進めば男性の育休に対する社会の意識も変わってくると思います」

 しかし育休を夫が取得しても、

《休んでいるだけで、何もしてくれない。これなら会社に行ってくれている方がいい》

 という声も……。