育休とは男性が育児を手伝うのではなく、夫婦で子育てするためのもの
育休とは男性が育児を手伝うのではなく、夫婦で子育てするためのもの
【写真】『育休革命』宣言した長崎知事

「何をすればいいかがわからないんですよね。“育休を取れと言われたから取った”と、家でゴロゴロしている、みたいな人も確かにいますから。

 男性からしてみれば、何をしてほしい、と言ってくれなければわからないと思うかもしれませんが、産後のママってホルモンバランスが崩れているから、感情の波が大きいんです。だから的確にお願いするのが難しかったり、ちょっとしたことでイライラしたりもあるんですよ」

参加者の半分から3分の2くらいが夫婦同伴

 こういった事態にならないよう、高祖さんは東京・葛飾区でプレママ、パパ向けの講座『ハローベビー教室』で伝えているという。

「子どもを授かる前に、産後の女性の身体についてや、子どもへの向き合い方といったことを学んだ上で育休を取ってもらえればいいなと。

 葛飾区の講座は平日の午後に開いているのですが、最近は男性の参加率も増えています。“会社を抜けてきました”みたいな人もいて(笑)。参加者の半分から3分の2くらいが夫婦同伴なんですよ

 若い世代には仕事よりも“家族ファースト”の生き方が根づいてきているということなのか。最後に高祖さんは育休が持つ、本当の目的に気がついてほしいと、こう語る。

「男性がパートナーを助けるのではなく、夫婦ふたりで子どもを育てるために休む、というのが育休です。この考え方を当たり前にしていくことが、まずは大きな一歩になるかなと思います」

 “理想の育休”の実現は、まだまだ遠いのか─。
   
 取材・文/蒔田 稔 

高祖常子 認定子育てアドバイザー。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。子ども虐待防止や、家族の笑顔を増やすための講演活動なども行う。著書に『感情的にならない子育て』(かんき出版)など多数