炭水化物は極力控えるのが健康にも美容にも◎

 ダイエットに効果的なだけでなく、糖尿病や肥満も防げると評判の炭水化物抜きダイエット。だが、農学博士で腸内細菌の研究者である南田公子さんは「極端に炭水化物を減らすと腸内環境が悪化する可能性がある」と言う。

「実は、腸内環境を守っている善玉菌は炭水化物が大好きなんです」(南田さん、以下同)

 善玉菌はよく、野菜などに含まれる水溶性の食物繊維をエサにしているといわれるが、食材に含まれている量はそんなに多くないため、善玉菌が満足するほどの量をとるのは難しいのだ。

 その点、米や豆、いもなどの炭水化物は、善玉菌が好む難消化性でんぷんを多く含む上に、私たちが日常的に食べている主食。毎日かなりの量が大腸に届くので、善玉菌はこれを主食として食べているという。

「腸内環境を整えることが健康や美容のカギですので、ぜひ炭水化物を食べて善玉菌にエサをあげてください」

常温の水のほうが冷水より身体に吸収されやすい

 白湯(さゆ)ブームも手伝って、身体を冷やしそうな冷たい水よりも、常温のほうが身体への吸収率がよさそうだが、実際はその逆が正解だと前出の田中先生。

「実は、5〜15度くらいの水のほうが常温よりも吸収率が高いんです。また、炭酸水のほうが水よりも吸収率がよいこともわかっています」

 つまり、冷たい炭酸水が吸収率ナンバーワンとは驚きだ。

「ただし、冷たい水で胃がけいれんしやすい人や、炭酸を飲むとゲップが出やすい人は、無理して飲む必要はありません。自分に合ったもので、水分補給を行いましょう」

 注意が必要なのは、サイダーやオレンジジュースなどの甘い飲み物。

「糖分を大量に含んだ飲み物は、飲んでも体内に吸収されず胃にたまってしまいがち。子どもが水を飲むのを嫌がるからとこれらを飲ませても、水分補給はできていません」

便秘解消には食物繊維を意識的にとろう

 頑固な便秘をすぐにでも解消したいとき、腸内環境を整えてくれる食物繊維を、いつもよりたくさん摂取する人も多いだろう。ところがその行為も、症状を悪化させる危険がある。

「私たちが寝ている間に起きる大腸の動きを『大蠕動(ぜんどう)』といいます。大蠕動がきちんと起きていれば翌朝の快便につながるのですが、これが起きないと便秘になってしまいます」

 と、東邦大学医療センター大森病院病院長の瓜田純久医師。大蠕動を止める原因のひとつが、大腸のガス。腸内細菌が食べたものを分解する際に出す水素ガスやメタンガスなどが、大腸の動きを遅くさせるという。

「便秘のときに食物繊維を摂取すれば、それらが分解される際にガスが発生します。つまり、大腸に便やガスが詰まっているときに食物繊維を食べると、ますます大腸の動きが悪くなり、逆効果になる場合があるのです」

 食物繊維が有効なのは、あくまで便秘の予防として。便秘になってしまったら、まずは炭水化物などの消化のよいものを食べ、スムーズな便通に戻ったら食物繊維を積極的に摂取したい。

健康のために毎日の牛乳を欠かさない

 牛乳などの乳製品は、カルシウムをはじめとした栄養素が豊富。骨粗鬆(こつそしょう)症対策に、積極的にとるようにしているミドル女性も多いのでは。

 ところが、心筋梗塞や脳卒中など、命にかかわる病気になるリスクを高める危険性があると、りんくう総合医療センター循環器内科部長の増田大作医師は言う。

乳製品の摂取頻度と悪玉コレステロールには相関関係が!
乳製品の摂取頻度と悪玉コレステロールには相関関係が!
【グラフ】乳製品の摂取頻度で悪玉コレステロールが上昇!

「乳製品に含まれている飽和脂肪酸という成分は、とればとるほど血液中の悪玉コレステロールを増やし、心筋梗塞や脳卒中などの原因である動脈硬化を引き起こしやすくなります。

 実際、ある調査では、乳製品を週に7日以上摂取する人は、それ以下の人と比べて、悪玉コレステロール値が上昇するという結果が出ました」

 だからといって、乳製品はまったくとってはいけないのかというとそうではない。

 例えば、普通の牛乳を低脂肪牛乳に変えるだけで、飽和脂肪酸の摂取量を3分の1に減らすことができる。商品を上手に選んで健康的な生活を送りたい。