庵野秀明監督のファンだという松崎さんが法事を告知するために作ったポスター。画像編集ソフト、illustratorを用いて制作し、人生初のバズりを経験(画像提供:松崎さん)
庵野秀明監督のファンだという松崎さんが法事を告知するために作ったポスター。画像編集ソフト、illustratorを用いて制作し、人生初のバズりを経験(画像提供:松崎さん)
【写真】バズるきっかけになった“SNSのアイドル”

お寺の発信力を高めたいという思いで、住職に拝命されたと同時にSNSでの投稿を始めました。現代のお坊さんは、ずーっと寺に閉じこもっている印象で、積極的に広報活動をしない。どんなに素晴らしい教えがあっても、知ってもらわないと始まらない。このままじゃマズイという危機感がありました」(松崎さん、以下同)

広報活動をするのは企業では当たり前

 その強い思いは、住職になる前に教員をしていた経験も関係しているという。

「私立学校で仏教の授業をしつつ、入試広報の担当もしていました。広報活動をするのは企業では当たり前なのに、参拝者が減っているお寺がしないのはダメだと。ただ、広告を出せるようなお金があるわけではないので、ほぼ無料で使えるSNSを利用しようと考えました」

 入試広報の仕事で身につけた画像の編集能力は、お寺の宣伝に多いに役立った。最初にバズったのは、ある映画をオマージュして作ったポスターだったそう。

浄土真宗の一大行事である報恩講を宣伝するために作ったポスターがバズりました。当時、映画『シン・ゴジラ』が公開されたばかりだったので、それをオマージュしたものです。そのポスターを撮影した人のツイートが話題になり、そこから私のアカウントを見つけてくれた人がたくさんいて、フォロワー数もグッと増えました

 映画や流行語、著名人のツイートなど、流行りにうまく乗った画像を投稿する松崎さんだが、芯にあるのはあくまで仏教だと話す。

仏教をおとしめることのないように注意しつつ、多くの人の目に留まるものを。そのバランスを大事にしながら発信をしています

 今後も、攻めた投稿を要チェックだ!

籔本正啓さん 大阪市平野区、浄土真宗本願寺派「一向山 専念寺」の25代目住職。通称「ネコ坊主」。インスタグラムやX(旧ツイッター)に投稿されたお寺の掲示板が話題。現在のXのフォロワー数は、約15万人(@yabumoto610)。

松崎智海さん 北九州市八幡東区、浄土真宗本願寺派「永明寺」の住職。2016年に住職を継職するのと同時にXでお寺のPRを開始。Xの現在のフォロワー数は、約4万人。著書に『だれでもわかる ゆる仏教入門』(ナツメ社)など。