家族のお見舞いがつらい治療の励み

 がんを告知された直後は頭が真っ白になったというが、やよいかめさんはすぐに冷静になった。まずはご主人に連絡し、帰宅後はお子さん2人に病気のことを話した。

子どもたちは、『寂しくてもガマンする』、『病気を治して元気になって帰ってきて』と励ましてくれて。その言葉を聞いて手術に向かう勇気が出ました。

 それまで私は家族のために自分が我慢するのが当たり前のことだと思っていたのですが、自分自身を大事にしていないと家族が困ることを痛感。これからは自分のことも大事にして、家族との時間を守ろうと思うようになりました」

 やよいかめさんはさらに大きな病院に転院し鼻腔がんの治療を受けることになった。

「治療に対する不安はありましたが、それよりも心配だったのは家族のこと。子どもたちは転校したばかりで、通学にも学校生活にも慣れていないし、夫は忙しく、家事もあまりできない。夫婦共に実家が遠いので父母のサポートを受けるのは難しい。

 当時は私の親も夫の親も仕事をしていましたし。でも結局、夫の父母に頼ることに。『あなたは自分の身体のことだけを心配してね』という言葉に思い切り甘えさせてもらいました」

 やよいかめさんは入院し、放射線治療と抗がん剤治療を経て内視鏡手術を受けた。

「抗がん剤治療の前に吐き気や嘔吐といった副作用の説明は受けていて、覚悟はできていたのですが、一番つらかったのは意外にも精神的な落ち込みでした。

 “私なんて生きている価値がないのかもしれない”とか、今思うと、どうしてそんなことを考えたのかが不思議なほど悲しい気持ちになってしまったんです」

 入院生活の大きな励みとなったのが、家族のお見舞い。

「夫は毎日のように昼休みに様子を見に来てくれて。入院中に治療を受けている間は病人なのですが、子どもの顔を見ると母親のスイッチが入るんですよね(笑)。病院で勉強をみたりもしていました」

(画像提供=KADOKAWA)
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