入院期間中の一番の出費が家計を直撃

 一時退院をはさみ、入院期間はトータルで約1か月半。入院してすぐにやよいかめさんは保険の手続きを行った。

「まずは高額療養費制度の申請をしました。それから、医療保険の給付手続きもしました。その医療保険は、がんが見つかる数年前に家族でショッピングモールを歩いていた時に声をかけられて、たまたま加入したもの。あのとき加入していたおかげで、金銭面ではかなり助かりました」

 入院費用はある程度の予測ができていたものの、予想外に出費がかさんだことが。

「義父母も仕事があったので、入院中ずっとお願いするのは難しかった。帰ったあとは、夫に頑張ってもらうほかなかったのですが、ただでさえ料理が苦手な夫が晩ごはんを作ると食べる時間が遅くなってしまいます。

 外食で済ませたり、自宅で食べる時にはお惣菜を買ってもらったり。買い物をし慣れない人がスーパーに行くと余計なものを買ってしまいがちなんですよね(苦笑)仕方のないことですが、振り返ると、晩ごはん代を含めた食費に一番、お金がかかっていました」

 無事に内視鏡手術を終えて退院。退院後の生活で変わったことはあるのだろうか。

「退院後は食事面が気になりました。いろんな情報がありますが、私が一番、信用しているのは国立がん研究センターのがんと食事に関するサイトの情報です。そこには“バランスのよい食事を意識する”とあります。

 ですから、時にはジャンクなものを食べ、その代わり、次の食事では野菜をたくさんとるなど、トータルでバランスのいい食生活になればと。あまり突き詰めると続きませんからね」

がん寛解後の栄養バランスのこと1(画像提供=KADOKAWA)
がん寛解後の栄養バランスのこと1(画像提供=KADOKAWA)
【4コマ漫画】やよいさんが、がん寛解後に悩んだ主婦ならではの悩み
がん寛解後の栄養バランスのこと2(画像提供=KADOKAWA)
がん寛解後の栄養バランスのこと2(画像提供=KADOKAWA)

 昨年、寛解した後も1年に一度、経過観察の検査と自費でPET検査を受けている。

「保険適用外で高額なので、少しずつ“検査貯金”をしています。がんに対して敏感になっていることもあり、気になる症状があったらすぐに病院で診てもらうようにしています。そこはがんにかかって一番変わったことかも」

 自身の鼻腔がんを振り返って思うことは。

「私は父と叔母をがんで亡くしていますが、今回自分が治療して改めて、医師、看護師、放射線技師、薬剤師……病院にはいろんな分野の専門家がいて、病気を治すためのプロフェッショナルな人たちが集まっている場所であることを実感、感動すらしました」

 気になる症状がある方は早めに病院に行ってほしいとやよいかめさん。

「家族に、会社に迷惑がかかるから……体調が悪くてもそのうち治る。そう思いがちですが、病気が悪化したり、ましてや死んでしまったら迷惑どころではありませんよね。私は家族のためにも自分の健康を守っていこうと思います」

家族みんなで仲良く(画像提供=KADOKAWA)
家族みんなで仲良く(画像提供=KADOKAWA)

人間ドックでもできる全身がん検診「PET検査」とは
 がんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療中の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査。
 一度の検査でほぼ全身の撮影ができる。健康診断を目的に検査を受ける場合は保険適用外となり全額、自己負担。
 心配なら定期的な検査を!

やよいかめさん●芸術大学の副手(職員)、陶芸教室講師などを経て転勤族の妻になり制作活動を休止したが2017年に鼻腔がんの告知、寛解したことをきっかけに再開。コミックエッセイ『鼻腔ガンになった話』(KADOKAWA)が話題。Instagram:@yayoi_kame ブログ:https://yayoikame.net/
やよい かめさん●芸術大学の副手(職員)、陶芸教室講師などを経て転勤族の妻になり制作活動を休止したが2017年に鼻腔がんの告知、寛解したことをきっかけに再開。コミックエッセイ『鼻腔ガンになった話』(KADOKAWA)が話題。Instagram:@yayoi_kame ブログ:https://yayoikame.net/
マンガ・イラスト/やよい かめ 取材・文/熊谷あづさ 画像提供=KADOKAWA