中年男性を貶めて笑いを取るという風潮が蔓延

 8月中旬に放送された『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)には、鈴木奈々(35)とギャロップ・毛利大亮(41)が出演。

 以前、鈴木が仲のよい女性タレント4人で写真を撮ってInstagramにアップしたところ、毛利からその4人のなかで鈴木が「一番かわいい」という趣旨のDMが届いたという。鈴木は「怖くて! すごく!」とネガティブな印象を受けたと告白し、スタジオ内では毛利の行動に対して悲鳴があがったのだ。

 たしかに今のご時世的に、職場の女性に「かわいい」などと言えばセクハラになる可能性はあるものの、このケースも男女逆だったらどうだっただろうか。「怖くて!」と発言した男性側が大炎上しかねない案件だろう。

 続いて、9月中旬に放送された『しゃべくり007』(日本テレビ系)でのこと。

 女性グループをゲストに招いたトークを展開中に、レギュラーのネプチューン・名倉潤(54)が急に席を立ち上がり、トイレに向かうというハプニングが起きた。MCを務めていたくりぃむしちゅー・上田晋也(53)が「何してんの!?」などとツッコミを入れ、トイレから名倉がこそっと戻ってきた際にも「バレてるわ!」とツッコミ。

くりーむしちゅー上田晋也
くりーむしちゅー上田晋也

 一連のやりとりでスタジオ内は笑いに包まれていたのだが、はたして女性タレントがトイレに立っていたとしたら、そのシーンをオンエアしていただろうか。誰にでも起こりえる生理現象を茶化したわけだが、人によってははずかしめられたと屈辱を感じるようなデリケートな問題なので、女性タレントであれば編集でカットしていた可能性は非常に高い。

「おじさんいじり」は受け入れないといけない?

 また、4月期のドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)で、主演の橋本環奈(24)の相手役を務めていたHey! Say! JUMP・山田涼介(30)の発言も、かなり根深い問題を感じさせた。

ドラマ「王様に捧ぐ薬指」の制作発表に出席した橋本環奈と山田涼介(Hey!Say!JUMP)
ドラマ「王様に捧ぐ薬指」の制作発表に出席した橋本環奈と山田涼介(Hey!Say!JUMP)

 撮影期間中の5月9日に山田は30歳の誕生日を迎え、撮影現場でバースデーを祝われたとのこと。その際に山田が「「30歳になっちゃいました(笑)。最近ようやく環奈ちゃんが『おじさんいじり』をしてくれるようになって、うれしく思っております」とコメント。

 これはもちろん場を和ませようとした山田なりのサービストークなのだが、中年男性は「おじさんいじり」を喜んで受け入れないといけないという風潮が、それだけ日本中に蔓延しまくっている証拠のように思えたのだ。

 そして、芸能界の話からは逸れるので余談ではあるが、岸田文雄首相(66)がネットを中心に「増税メガネ」と揶揄されるあだ名を付けられている。そして、10月下旬の衆議院予算委員会で、立憲民主党・長妻昭政調会長(63)が「総理は『増税メガネ』という言葉は気になるか?」と問いかける場面があった。

岸田文雄首相
岸田文雄首相

 これも岸田首相が男性であるから、ここまで「増税メガネ」という言葉が広まってしまったように思えてならない。そもそも首相が女性ならばネット民の間でも「増税メガネ」という言葉は流行らなかっただろうし、長妻政調会長が女性首相にその問いかけをしていたら、彼のほうが大ヒンシュクを買っていたに違いない。