転落人生の背景

 その後は、地下アイドルとして活動したこともあったようだが、それも金銭トラブルを理由にクビになったという。

 逮捕前の様子を、Aの友人が明かす。

「最終的には清掃員やキャバクラのボーイをして食いつないでいました。事件の直前まで連絡を取り合っていましたが、一時は音信不通になったことも。Aは“料金を支払えなくてケータイを止められた”と話していて、金銭的に苦しかったようです」

 しかし、こうした転落人生の背景には、母親の存在が影響していたのではないかとも、Aの友人は話を続ける。

「両親は離婚しており、彼は母子家庭で育ちました。お母さんはスナックで働いて生計を立てていたそう。ただ、Aが芸能活動で稼いだお金は全部、母親が趣味の麻雀やパチンコに使ってしまっていたようです。Aは“金八のギャラは全部、母親がパチンコに使っちゃった”と、冗談交じりに話していました。Aには羽振りよく遊んでいるというイメージはありません」

 こうした証言をもとに考えると、Aも“オトナたち”に人生を狂わされた被害者としての側面があったのかもしれない。

 今はただ、刑務所で罪を償う日々を送るAだが、補償を受け取ることについて、元ジャニーズたちはどう考えているのか。

「僕もそうですが、ジャニーさんの性加害によって人生を狂わされた人は少なくない。なので、もし彼が補償金を申請しているのなら、受け取ることについて僕は問題ないと思っています。しかし、だからといって犯罪行為に手を染めていい理由にはならない。自分が犯した罪をしっかりと反省したうえで、新たな人生を歩んでほしいと思っています」(前出・元ジャニーズJr.の男性)

 10代を旧ジャニーズで過ごしたAも、すでに31歳。“オトナ”たちから搾取され続けた半生の脱却なるか――。

長年にわたって性加害行為を行ってきたジャニー喜多川氏。自宅マンションの水槽に映る姿は不気味(元ジャニーズJr.の被害者男性提供)
長年にわたって性加害行為を行ってきたジャニー喜多川氏。自宅マンションの水槽に映る姿は不気味(元ジャニーズJr.の被害者男性提供)
【写真】自宅マンションの水槽に映る不気味なジャニー喜多川氏