目次
Page 1
ー 「美しすぎる引き際」
Page 2
ー お笑いビッグ3の残る2人

 終活、という言葉がある。「就活」をもじるかたちで生まれた、人生の終わりに向けての準備を指す言葉だが、芸能人としてのそれを進めているように見えるのがタモリだ。

「美しすぎる引き際」

 昨春『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)が終了。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)も月2回程度の放送にペースダウンする中『ブラタモリ』(NHK総合)のレギュラー放送が今年度で終了することが発表された。

 極端な人気低下は見受けられないことから、本人の意志によるところも大きいのだろう。それゆえ「美しすぎる引き際」などと評するメディアも。そこでは「老害」とは無縁の「いい年の取り方」だとして絶賛されていたりする。若いころ「嫌いな芸能人」や「抱かれたくない男」といったランキングのトップだったことを思えば、隔世の感だ。

 ではなぜ、今のタモリはこういう存在になっているのか。

 転機はやはり『笑っていいとも!』(フジテレビ系)だ。1982年のスタート時、彼の好感度はまだ低かったから、これはかなり意外な起用。筆者自身、ハナモゲラ語やイグアナのまねといったアングラで深夜枠っぽい芸風が苦手だった。

 しかし、もっと意外なのはそこから「昼の顔」に定着してしまったことだ。特に「世界にひろげよう友だちの輪ッ」がテーマのテレフォンショッキングで、両手を上げ「輪っか」を作るポーズを観客と一緒にとる姿には心底驚いた。

 というのも、彼の有名な生い立ちエピソードに幼稚園を拒否した話がある。見学に行ったところ、園児たちがお遊戯をやっていて、

「俺はああいうこと、絶対にやりたくない」

 と、親に宣言したという。老成とか個人主義といったものが根底にあり、文化人ウケするような「大人の夜遊び」が得意だった彼が、それこそ、何千万人が見る昼間の番組で連日、お遊戯みたいなことをやり始めたわけだ。おそらく自分でも芸人としての一大転機だととらえ、ちょっと頑張ってみたのだろう。