初めての一般参賀で一番感動したこと

 初めて一般参賀に訪れた彼は、「来て本当によかった」と、感想を述べた。天皇ご一家と秋篠宮ご夫妻や佳子さまを間近に見られたことに一番、感動したという。先ほど述べたように、それほど近くない場所から見たのだが、それでも知人は陛下たちにそろって会うことができ、さらに、陛下の肉声まで聞けてうれしかったと話した。想像していたよりも、陛下たちが並ぶベランダが低く、国民との距離が近いように感じたらしい。「宮殿は立派で、一般参賀の雰囲気もよかった」「やはり、現場に来ることは大事ですね。自分の目で見て、肌で感じることがとても重要です」

 このように知人は締めくくったが、私は皇族方と彼との心の距離が縮まったようで、それが何よりもうれしかった。宮殿ベランダの上と下という関係ではあるが、大勢の国民と佳子さまたちが同じ空間や時間を共有することの大切さを学んだ気がした。

 今年2月21日、誕生日を前にした記者会見で、愛子さまの海外留学の可能性などについて、記者たちから聞かれた陛下はこのような発言をしている。

「いずれ海外への訪問というものもあるのではないかというように思っております(略)。日本にいるといろんな情報がインターネットなどを通じてわかりますけれども、やはり外国に行って実際にその場所を見るということはやはり何物にも代え難いものがあるように思いますし、実際にその場所に行って、そこにいる方々とお話しをして、その国の社会や文化に接することによって、またさらに大きく成長していってもらいたいというように思っております」

「一般参賀が、どういう様子なのか。一度、体験してみたい」佳子さまは、このように希望して2014年1月2日の新年一般参賀を国民に交じって訪れたと以前、この連載で紹介した。佳子さまもまた、実際にその場所に行き、大勢の人と直接、触れ合うことの大切さを知るひとりだ。今年も国内や海外で多くの場所を訪れることだろう。

 そうすることで佳子さまも陛下の言葉のとおり、「またさらに大きく成長していってもらいたい」と、私は願っている。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など