一方で、大きく変わる可能性があるのが、デジタル技術の活用だという。STARTO社は《DX化》《グローバル展開》《メタバース市場参入》の3つを新たな挑戦として掲げている。

「今まではアナログに振り切っていましたが、デジタル技術は積極的に取り入れると思います。サブスクの解禁をはじめ、NFT(コピーや改ざんのできない資産価値のあるデジタルデータ)を活用して限定コンテンツを発信したり、メタバースの技術を使って、会場に行かなくてもコンサートの疑似体験ができるようにしたり……。生成AIで、ファンの名前を呼んでくれるようなサービスなども生まれるかもしれません

期待される“メンズアイドル改革”

 だからといって“安売り”するわけではなく、

「既存のファンを離してしまったら意味がないので、ファンが“ファンであること”を誇れるようなブランディングを考えていくと思います」

 こうした変化によって、“メンズアイドル改革”を推し進めるという。

「このところ、インディーズのメンズアイドルグループが事務所の垣根を越えて楽曲をリリースするなど、メンズアイドル業界が盛り上がりを見せています。彼らが進む最先端を、これまでのノウハウと資金力があるSTARTO社が牽引して、どんどんメンズアイドルグループが活躍する時代になるのではないでしょうか。そしてメンズアイドルグループへの“推し活”がさらに勢いを増して、業界全体が盛り上がると思います」

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 その先には、大きな可能性も秘められていて……。

「実は今、世界では日本への注目が集まっているんです。真田広之さんがプロデュースしたドラマ『SHOGUN 将軍』がヒットしたこともあり、欧米では世界から見た、これまでの“日本像”を改めて掘り起こそうという動きが生まれています。その流れに乗って、パフォーマンスも演技もコメディーもできる日本独自のメンズアイドルグループが、アニメやマンガ、ゲームに続く日本のカルチャーとして、欧米に届くというのが、いちばんの理想ではないでしょうか

 そのために、今後STARTO社が自覚すべきことは、

“人気だけじゃやっていけない”ということです。ここ最近Snow ManやSixTONESなどのパフォーマンスを見ると本格的になってきていますが、それ以外の部分も実力をつけなければ、人気だけのアイドルで終わってしまいます。それでは韓流に負けてしまう。今の旧ジャニーズのタレントに足りない部分はそういったところで、今後の課題になると思います。人気だけで許される時代は過ぎ去ったので、実力を高めていくことが必要でしょう

 “スタート”したばかりの新体制に期待したい!

衣輪晋一(きぬわ・しんいち)メディア研究家。書籍『見てしまった人の怖い話』『さすがといわせる東京選抜グルメ2014』、バラエティーやドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中