【Q5】過去に起きた似た事例は?

 これまでも、同じような健康被害が起きているケースはあるのだろうか。前出の業界紙記者が話す。

「キノコ類の一種であるアガリクスは健康食品の商材として知られていますが、'06年にある企業が発売していたアガリクスを使った健康食品の1つに“発がんを促進する成分”が含まれていることがわかり、回収騒ぎになりました。これによる健康被害はありませんでしたが、当然のごとくアガリクス商品の売り上げは激減し、倒産する企業もありました」

 大規模な健康被害が起きたケースもある。

「医薬成分を含んだ化粧品の事例ではありますが、“茶のしずく石鹸事件”を思い出しました」(同・業界紙記者、以下同)

 どんな事件だったのか?

「'05年に化粧品販売会社が発売した『茶のしずく石鹸』を使用した人に、次々と小麦アレルギー症状が出たんです。'11年に問題が発覚しますが、当時は真矢ミキさんが出演するテレビcmが放映されるほどの人気商品で、被害者数は2000人を超えました。小麦アレルギーがなかった人にもアレルギー症状が出るようになり、意識不明の重篤な状態に陥った人も。

 原因は、石鹸に含まれていた小麦由来成分『グルパール19S』だったことが判明しています」

 '12年には、全国の被害者たちがいっせいに損害賠償を求めて提訴。請求した賠償額は総額100億円を超えた。

「'20年には、すべての被害者との和解が成立し、裁判は終結しています。石鹸は、小麦アレルギーを引き起こす要因となった成分を除いたうえで、商品名を変更し、現在も販売されています。

 '13年には、また別の化粧品メーカーの美白化粧水で、使用した人の肌がまだらに白くなる健康被害が問題になりました。化粧品メーカーが確認した被害者数は、1万9609人にのぼりました。問題発覚から10年以上たちますが、いまだすべての被害者との和解は成立していません」

 被害者たちは、今も苦しみ続けている──。

3月22日、会見の冒頭で謝罪する小林製薬の小林章浩社長(写真/産経ビジュアル)
3月22日、会見の冒頭で謝罪する小林製薬の小林章浩社長(写真/産経ビジュアル)
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※4月5日時点の消費者庁ホームページの情報に基づき週刊女性作成

柴田 玲●医学博士。名古屋大学大学院医学系研究科 先進循環器治療学 特任教授。総合内科、循環器、高血圧、再生医療の専門医。生活習慣病や心臓病などの診療を行い、サプリメントにも詳しい