目次
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ー 上記を逸した独自の世界観が生まれた背景
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ー 「妻のためにも売れなくては」の決心

「かっこよすぎだろ!」

 ステージ上で汗だくになりながら長い髪を振り乱し、一心不乱にギターをかき鳴らす、どこか貫禄のある男。その動画がSNSで拡散されると、それを見た人たちからは称賛の声があがった。その男とは、ピン芸人の永野――。

「5月5日、下北沢のライブハウスで人気ロックバンドの『ギターウルフ』と永野さんによるライブが開催されました。ギターウルフは1987年に3人組で結成されバンド。激しくもポップな曲調で、海外でも人気があります。永野さんは、2009年に初めてギターウルフのライブに行って以来の熱烈なファン。ボーカルのセイジさんと仕事をきっかけに親交を深め、今回のライブ開催に至ったようです」(音楽ライター)

 永野といえば、

「ゴッホより~、普通に~、ラッセンが好きー!」

 と、ひたすら画家クリスチャン・ラッセンの名前を絶叫する芸風が特徴。過去に『嫌いな芸人ランキング』で1位を獲得したが、それを逆手に“気持ち悪い”も売りにしてきた。そんな永野が今“カッコいい”と賛辞を浴びる。ついに時代が永野に追いついたということか――。

「今年で芸歴29年目。1990年代からピン芸人として活動していますが、なかなか売れず。最初に所属した事務所は『ホリプロ』でした。事務所の人も永野さんに光るものを感じたのでしょうが、一向に芽が出ず。トラブルばかり起こす問題児で、最終的に“おまえがいると後輩に悪影響を及ぼすから辞めてくれ”と言われて、実質“クビ”になったのです」(芸能ライター、以下同)

上記を逸した独自の世界観が生まれた背景

 30歳を目前に永野はフリーになって、アルバイトで生計を立てつつ、芸人の活動を続けた。鬱屈した日々を過ごしたが、苦しき日々が永野を醸成させる。

「2007年に単独ライブを開催したことで、変化が訪れたそうです。定期的にイベントを開催するようになり、そこで常識を逸したネタを披露するように。独自の世界観を構築していったんです」