9月12日に92歳の誕生日を迎える“芸人”・内海桂子。大正、昭和、平成と時代を駆け抜けて活躍する彼女は、現在も浅草・東洋館で月に7~8回、得意の日本舞踊や都々逸を披露するなど、まさに生涯現役。

「いわゆる健康法が嫌いなので何もしてないんですよ。ああでもない、こうでもないと言われたり、あれ食え、これしろっていうのを、全部やれるわけがないんです。やりたいことや、やれることだけを自分のできる範囲で行うだけ。それくらいがちょうどいいんです」

 頑張りすぎるのは疲れてしまうからダメ。かといって、頑張りすぎないこともダメだ、という持論もある。

「夜、寝る前に都々逸を考えるんです。“老化現象 論ずるよりも 老化防止は 廊下拭け”ってね。年をとったからといって車イスに乗せちゃうから、余計に老人になった気分になると思うんですよ。歩きたい人は歩かせたほうがいいんです。それを“然り而して~”と理屈っぽい伝え方をするより都々逸で伝えたほうが“ふんふん、おもしろいね”なんて実行する人が増えると思うんですよね」

 その声の出し方や踊りの表現力を保つためにも、身体のメンテナンスは怠らない。

「日本舞踊はしゃがんだり立ったりするので、身体のバランスが大事。朝起きて気が向いたら、家の周りを2丁分くらい歩くようにしています。どうしても腰まわりが固まってきてしまうので、腰を動かすようにしっかり意識をしながらね。

 年齢を重ねたからこそ、お化粧だけでは出せない90過ぎたババアならではの色気が出てくるの。それを動きの悪い身体が殺してしまわないように。振りができるからといって踊りができているわけじゃない。身体や目、雰囲気もすべて込みで踊りなのです」

 内海桂子・好江としてコンビ活動をしていたときは、1週間に1本、必ず新ネタの台本を書いていたそう。また、現在はツイッターでニュースについて言及することも多い。そのフォロワーはなんと10万人超!

「いち芸人の私が偉そうなことを言うわけにも、ウソをつくわけにもいかないでしょ? 一般の人が受け取るような解釈をするのではなくて、事実を裏から読み解いたりするんです。すると、それが笑いになるわけ。世の中を俯瞰して見れば求められている言葉が浮かんでくるものなの」

 仕事に対する姿勢こそが健康につながり、長く世の中に受け入れられる“芸人”でいられるのだ。