花燃ゆ 高良健吾
撮影/廣瀬靖士

「やっぱり和装になると、心が引き締まりますね。これは日本人だからこその感覚かも」

 これまで何人もの俳優が演じてきた、幕末の風雲児・高杉晋作。幕末から維新の動乱を語るときに、必ず名前があがる人物を大河ドラマ『花燃ゆ』で演じるのは高良健吾。"高杉晋作をやる、と決めたときから覚悟はあります"という彼の胸中は―−。

「実は高杉さんを演じるとなったとき、彼のことを何となくしか知らなかったんです。そこで、とにかく資料を読みました。僕が演じるのは、松下村塾に入る前からの高杉さんで、あまり知られていない部分だと思います。だからこそ、その時々で何を考え何を感じていたのかを理解しよう、と」

 5年前の『龍馬伝』で高杉晋作を演じた伊勢谷友介が、『花燃ゆ』では吉田松陰役で出演している。伊勢谷に対して何か思うところは? と聞くと、

「伊勢谷さんが演じた高杉さんを僕が同じようになぞっても仕方ないですし、そういうものを見たくないと思いますよ。自分が勉強して感じたことを役に込めないといけないし、違う人が演じれば、表現方法も変わってきますし。"奇兵隊"を作ったあとは、あれくらいカッコよくいたいですけどね(笑い)」

 撮影現場の様子は、

「これだけ男性俳優に囲まれるドラマは久しぶりですね。すごく新鮮ですよ。東出(昌大)とか、同世代の役者が多くいるだけで(気分が)上がりますね。あと、面白いのが伊勢谷さん。現場で撮影の合間にいろいろ話をしていただいて、松陰先生から受ける講義みたいになっているときがあるんです。まさに"伊勢谷塾"。命の使い方の話をしたりして、本番の松陰先生とリンクしてくるんです。その話を聞いている僕らも、変にギラギラしていて。みんなが本番に入りやすいように、意識的にしてくれているのかな、と思うんですけど、あの雰囲気はなかなかないですね」

 では、どんな高杉晋作を演じたい?

「彼の魅力って、あの時代に誰も思わなかったことを、松下村塾のメンバーとともに行動に起こしたことだと思う。それも、自分の命をかけて。常識と、それを打ち破る非常識さを持ち合わせていて、繊細で優しい……。それをどう表現したらいいかはまだわからないですが、高杉さんが死ぬまでを演じていく中で、ひとりの人間としてありたいと思っています。ワンシーンだけで人を説明しないというか、登場する第8話から死ぬまでで"高杉"という表現に挑戦してみたいです」