現在習慣的に喫煙している人は国民全体で15.7%、さらに働き盛りの年代、30〜49歳の男性に至っては30%強となる(2023年、厚労省国民健康・栄養調査)。その人たちの居場所を急激に減らす施策であることは確かだ。
用意された喫煙所のうち4割はパチンコ店、喫煙所「空白地帯」も
ただし、大阪市は「路上喫煙全面禁止」に対する手当として、スモーカーたちの「受け皿」となる喫煙所の整備には取り組んでいた。市は、昼間人口308万7000人のうち喫煙者は63万人と推計し、その中で路上・公園等でよく喫煙するとアンケート回答した喫煙者の割合を踏まえると、約13万5000人が利用できる喫煙所数として120か所、さらに万博開催による観光客の増を見込んで民間の既存喫煙所の改修による一般開放20か所、計140か所という設置目標値を定め、喫煙所の整備に取り組んでいたのだ。
そして、“Xデー”となる1月27日に一体いくつの喫煙所を整備したのだろうか。
「1月27日時点で公設の指定喫煙所が51か所、補助制度を活用した民間の指定喫煙所が119カ所で合計170か所。さらに以前から設置されていた公設の指定喫煙所が7か所、民間の指定喫煙所を無償で一般開放したところが123か所あり、合わせて300か所。また、喫煙可能な飲食店や商業施設など情報提供喫煙所(※注)13か所を含めると全体で313か所の喫煙所を整備したと公表しました。2月27日の大阪市議会における横山市長の答弁によると、2月17日時点で350か所になったとのことです」(同府政担当記者)
※注…大阪市指定喫煙所以外でも、関係法令等を遵守した喫煙が可能な場所(飲食店や商業施設など)の情報を市に登録することにより市の公式サイトに情報を公開していくというもの。詳しくはこちら。
140か所を目標に掲げて結果は350か所。数字だけみれば上出来だったと言える。ただし、実態は“カラクリ”あり、あるいは“数字のトリック”といえるものだったという。
「何しろ4割にあたる140か所がパチンコ店であり、1施設、1店舗で複数の喫煙所を登録している箇所もあります。中には1店で7か所も登録しているパチンコ店も。また、登録箇所には偏りがあり、喫煙所が見られない“空白地帯”もいくつか。御堂筋や堺筋といった大阪を代表するオフィス街周辺も空白地帯となっているのです。浪速区など公設喫煙所がない区もありますし、カーディーラーの中など、誰でも利用できるわけではない施設もカウントされているのです」(同府政担当記者)
こういった実態には当然「数字稼ぎ」という声が上がっているが、横山市長は会見でこう述べている。
「数字をごまかしているつもりはなくて、提供いただいている箇所数を公表しているだけ。適切な場所に適切に配置できるように対策を進めていきたい」