大小さまざまな出費の見直しや節約の積み重ねで少しずつ身の丈に合わせていった。しかし、年金暮らしへの不安は常につきまとっていた。
この世界もまだまだ捨てたもんじゃない
「以前、万が一、夫に何かあったときを想定して、年金の受給額を計算したことがあるんです。すると、収入が半分くらいになるので、どうしようと不安になって……。でも、亡くなった母の言葉を思い出して。“ないなら、ないなりの暮らしをすればいい”って。
ひとりになったら今より小さな家に引っ越せばいいし、家賃と光熱費に半分取られても残り半分あれば食べていくには十分だなと。この春、夫婦で再就職が決まったことで金銭面ではプラスになりますし、身体を動かしているほうが元気でいられて結果として節約にもなると思っています」

悩むばかりでなく“もしも”を想定して前向きに考えている。ただ、お金のことで夫と険悪なムードになったことも少なからずあった。
「精神的にきつくなって“こんなふうになったのはあなたのせい”“あなたがもっとしっかりしていれば”と責めたことも。でも、気持ちを切り替えられたのは、これもYouTubeがきっかけ。不幸な暮らしを発信する“不幸系チャンネル”があるのですが、不平不満が多くて見ていてしんどくなるんです(笑)。“私も夫に対して同じことしてるやん”とハッとして」
それからは気持ちが変わって、節約もゲーム感覚で楽しいと思えるようになったそう。
「私たちの再就職が決まったのはほぼ同時。体調が回復した夫がシニア向けの就職サイトに登録していたら、条件にピッタリの仕事が見つかって。自分より年上の先輩方がたくさんいる職場で、短時間ですが週に5日、すごく楽しそうに働いています」
一方、pokkomaさんは週に2回、保育士の仕事を始めたばかりだ。
「人とのご縁があって紹介されたのですが、話をもらったときは年齢的にムリだと思って諦めていたんです。でも、そこは定年が70歳、希望があれば75歳まで働けて、週に数回の短時間勤務でもOKな職場で。恵まれた環境です」
再就職を通して、“諦めない”ことの大切さを実感した。
「スキルや経験があっても年齢的にダメだと思い、自分のほうから遮断して諦めていました。でも、今は自分からアンテナを張っていれば、できる仕事があることにも気づけて。この世界もまだまだ捨てたもんじゃないですね(笑)」