“ロイヤルニート”と呼ばれた過去

 日々の振る舞いから、佳子さまが皇族としての強い自覚を持たれていることが伝わる。しかし、かつては心無い批判を浴びた時期もあった。

「佳子さまは2019年に国際基督教大学を卒業していますが、2021年に『全日本ろうあ連盟』に嘱託職員として勤務されるまで、就職も進学もなさらなかったのです。その間、皇族としてのお出ましも少なかったことから“ロイヤルニート”や“公務嫌い”と指摘されたことがありました」(皇室ジャーナリスト、以下同)


'21年に結婚し、アメリカへ渡った眞子さん。担っていた公務のほとんどは佳子さまが請け負われている

'21年に結婚し、アメリカへ渡った眞子さん。担っていた公務のほとんどは佳子さまが請け負われている

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 今は、当時と打って変わって公務に邁進されている佳子さま。昨年の公務は134件と、皇室屈指の回数だ。これほど多くの公務を担われるようになったきっかけは、姉である眞子さんの結婚だという。

「眞子さんは2021年に結婚し、皇籍を離脱。その際、眞子さんが担っていた公務のほとんどを佳子さまが引き継いだのです。当初は“眞子さんの公務を引き継いでも、徐々にまた、お出ましにならなくなるのでは”という見方もありました。

 しかし、眞子さんから引き継いだ公務を継続するだけでなく、手話やダンスに関する式典など、佳子さまならではの公務も担われるようになっています」

 公務に向き合う姿勢に変化があった背景を前出の河西准教授は次のように分析する。

「“ロイヤルニート”などと揶揄された、かつての批判がトラウマとなっているのではないかと思われます。批判を受けて佳子さまは“きちんとやらなければ”と焦燥の念に駆られたのかもしれません。

 そして眞子さんから受け継いだ公務を請け負ううちに、やりがいを持つようになられたのではないでしょうか。さまざまな場所へお出ましになることで、国民から求められている実感がわき、率先して公務に取り組まれるようになったのだと拝察いたします」

ただ、佳子さまのあまりの多忙ぶりに「このままでは体調を崩しかねない」と河西准教授は警鐘を鳴らす。そして、負担を減らすためには「公務を請け負う仕組みを改めるべき」だと続ける。

「式典などに皇室の方々を呼ぶ際、主催者は宮内庁に“どなたか皇族を派遣してください”と頼むのではなく、それぞれの宮家に対して、こちらへ来てくださいと頼みます。そのため秋篠宮家に依頼が来た公務に、秋篠宮家の方が行けないからといって、代わりに他の宮家の方が行くということはできないのです。

 これでは公務数が偏らざるを得ません。宮内庁が一括で依頼を受け、どの皇族を派遣するか振り分けることができれば理想的です」

 今の佳子さまに“ロイヤルニート”の面影はない。ただ、内親王も人間。身体が資本という点に変わりはない。

河西秀哉名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数