「イメージを決定づけた曲」

 7位は17票で『北ウイング』がランクイン。7枚目のシングルで国境を超えて彼のもとへ旅立つ女性を歌った。「あの飛び立つような躍動感が好き」(65歳・福岡県・男性)、「洋風でしゃれた感じ」(83歳・神奈川県・男性)、「メロディーがとてもインパクトがあり何度でも聴きたくなる」(63歳・兵庫県・女性)。衣装や振り付けなど細部までセルフプロデュースしたといわれる明菜だが、この曲も杉山清貴&オメガトライブの楽曲を多く手がけた作詞・作曲家コンビに、直接制作を依頼、タイトルも名づけたそう。このとき弱冠19歳、恐るべきセンスだ。

1987年の全日本歌謡音楽祭ではロングドレスで『難破船』を歌唱した中森明菜
1987年の全日本歌謡音楽祭ではロングドレスで『難破船』を歌唱した中森明菜
【写真】「中森明菜の名曲」ザ・ベストテン!『DESIRE』『少女A』を抑えた1位は

 6位は11枚目のシングル『ミ・アモーレ』。『北ウイング』と同じ康珍化が作詞、ラテン音楽の第一人者、松岡直也が作曲を担当したラテンサウンドをベースにした楽曲。カーニバルで出会った男性との刹那的な夜を情感たっぷりに歌い、盛り上がりが最高潮に達するサビの《アモーレ》は聴きごたえバツグン。「ラテン感あるアレンジが好き」(61歳・埼玉県・男性)、「恋の切なさ、愛の深さをうまく表現」(83歳・東京都・男性)、「楽曲のサビの部分が好き」(56歳・兵庫県・男性)。この曲と『DESIRE―情熱―』で2年連続日本レコード大賞を受賞し、“脱アイドル”を印象づけた。

 5位は19票で『難破船』。加藤登紀子の曲をカバーしてシングルリリース。曲の雰囲気が明菜にぴったりなことから、加藤が“明菜に歌わせたい”と切望し実現。「失恋したときに聴いて心に刺さった」(56歳・埼玉県・女性)、「ライブで泣きながら歌っているのを聴いて感動」(60歳・静岡県・男性)、「歌唱力がないと歌えない」(53歳・大阪府・女性)。明菜ならではの囁くような低音と切ない歌詞が魅力で、昭和世代の失恋ソングといえばコレ、という人も多いのでは。

 4位はセカンドシングル『少女A』で28票。「初めてテレビで見たときが忘れられない」(62歳・愛知県・男性)、「『中森明菜』のイメージを決定づけた曲」(65歳・東京都・男性)、「媚びない、一番カッコいい曲だと思う」(66歳・神奈川県・男性)など。デビュー2作目、可愛い路線で行きたかったという明菜に用意された『少女A』はまさかの“ツッパリ路線”で、当初は反発したそう。ふてくされた写真が使われたジャケ写や、むくれて歌った様子がむしろ曲にマッチし、大きくヒット。その後の方向性を決定づけた。