「原作がとても好きなので、たいへん光栄であったのと同時に、そうとう腹をくくって臨まないといけないなという覚悟もありました」

 新ドラマ『エンジェル・ハート』で主人公の冴羽りょうを演じる上川隆也。'85年から連載された北条司の累計5000万部の大ヒットマンガ『シティーハンター』はアニメ化もされた。その世界観を引き継いだ続編が『エンジェル・ハート』。

 実写化となると、原作ファンは何かとケチをつけるものだが、上川の冴羽りょうには好意的な声が多い。その演技力に加え、アニメDVDを数百本所有し、漫画に精通していることも関係していそうだが?

「恐れ多い話です。しかし、それが安心感になるのなら、それはそれでありがたいことですよね。趣味が実益につながるというか(笑い)。とはいえ、好意的に寄せていただけた声も“オタクだからOK”ということではないと思うんです。

 僕自身、冴羽りょうとの共通項はゼロ。同じなのは性別だけ。間に横たわる大きな溝をどこまで演技で埋めていけるかにしか思いは向きませんので」

 冴羽りょうは新宿を拠点とし、私立探偵的な立場で依頼を受ける凄腕のスイーパー(殺し屋)。そして、無類の女好き。上川が“もっこり”とヤニ下がる姿は、ちょっと想像できないが、

「そこを演じることに対しての抵抗はないです。キャラクターとしての獠が持っている味はスポイルしたくないので。おこがましいかもしれませんが、原作の持つスピリットは、常に気持ちのどこかに置いておきたいと思っています」

 慎重に言葉を選びながら、時に考え込みながら言葉を紡ぐ。作品への敬意と真摯な姿勢が強く感じられる。ハードボイルドでありながら、ハートウォーミングな本作。迫力あるアクションシーンに備え、7月からトレーニングを開始した。

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『エンジェル・ハート』10月11日(日)夜10時スタート(初回は30分拡大、2話以降は毎週日曜夜10時30分~)『喫茶キャッツアイ』のファルコン役は、ブラザートム。上川との愉快なアドリブ合戦に、みんな笑いをこらえるのが必死

「前作の『花咲舞が黙ってない』は放送開始前にすべて収録が終わっていたんです。もし、銀行員の“相馬さん”が胸筋バキバキになってしまっていたら違和感しかないでしょうし(笑い)。それを回避したうえで、『エンジェル・ハート』にアプローチする時間をしっかり取れたのは、幸いだったと思います。

 基本的にウエートトレーニングを2日に1回やっております。“身体ができあがってきた”なんてとうてい申し上げられませんが、トレーナーの方に“危機感を抱かずにいられる”と言っていただけたので、そこはありがたく受け止めています」


撮影/廣瀬靖士