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ー 有権者の感情を逆なでする石破首相

 

 いよいよ終盤に差し掛かった参議院選挙。国民民主党や参政党の躍進もあり、議席争いは例年以上に激化している。各政党が派手な演出や公約を掲げる中、自民党総裁の石破茂氏の発言に、疑問や批判の声が集まっている。

有権者の感情を逆なでする石破首相

 問題視された発言は9日。注目の「1人区」である佐賀選挙区でのものだ。

「自民党現職・山下雄平氏の応援で佐賀入りした石破氏は、“この男こそ佐賀のため、日本のために、どうしても出していただきたい”と懇願するように語ったうえで、“あえて申し上げます。助けてください。山下のためではありません、日本のために”と呼びかけました。

 選挙応援の場では、候補者の実績や公約を伝えるのが本来のあり方。こうした感情に訴える表現には違和感が残りましたね」(政治ジャーナリスト)

 こうした発言に、SNS上では次のような反応が噴出した。

《あえて申し上げます、救いようがありません》
《あえて申し上げます。助けたくありません》
《情けない、一国の総理ともあろう者が》
《助けてほしいのは国民のほう》

「1人区の勝敗は参院選全体の結果に影響します。そのため石破氏自ら現地入りしたのでしょうが、議席死守に意識が向きすぎて、本来あるべき応援から逸脱した印象を与えてしまった。

 日本経済新聞社の世論調査によれば、自民・公明両党は序盤よりも議席を大きく減らす見込みとされている。過半数確保に必要な50議席を目指すには、政権トップとしての自覚ある言動が求められる」(前出・政治ジャーナリスト)

 ただし、こうした懸念は今回に限ったものではない。石破氏には、これまでも物議を醸す発言がいくつかあった。

 例えば、昨年12月の国会予算委員会では、「掲げた政策が、当選したからといってその通りにやる、ということにはなりません」といった趣旨の発言があり、「有権者への裏切りではないか」との批判を受けた。

 さらに直近の12日、名古屋での演説では、「今さえよければいいとか、自分たちさえよければいいとか、そういう政治が行われたとき国は滅びる」と述べ、あたかも自分たち自民党は、未来を見据えた政治をやっていると言わんばかりの発言。

「特に名古屋での演説には、強い反発が寄せられました。というのも、自民党に対しては『公約は守れない』『選挙目当ての現金給付』といった批判が根強く、自己中心的な政治そのものととらえる有権者が多いからです」

 SNS上に見られる、

《今さえよければ…自民がまさに証明している》
《自己紹介ありがとう》
《自覚あるのか、参ったな》
《怖いですね、もはや。完全に客観視できていない》

 こうした声からは、単なる怒りを超えた「諦め」すら感じられる。国が「滅びてからでは遅い」とならないよう、今一度、国民の声に真摯に耳を傾ける姿勢が求められている。