冠レギュラー番組も

「湾曲」は、おそらく“歪曲”の間違いではないかと思うが、斎藤知事に関しては、第三者委員会が公益通報者保護法違反を認定しており、消費者庁も指摘している。多田候補は、それでも「何が正しいのかわからない」という。

 記者たちの突き上げに耐えられなくなった多田候補は、逃げるようにその場から離れていったのだが、彼女から重要な一言を引っ張り出したこの中学生の名は、川中だいじ。『日本中学生新聞』の創設者であり、記者でもある。

 小学校低学年のころから、すでに政治や選挙に興味を抱いていた川中記者は、2023年に『日本中学生新聞』を創刊。noteやXを使って情報発信をはじめた。その年の春に行われた第20回統一地方選挙では大阪市議会選挙・吹田市長選挙へ取材に行くなどして、記者たちの間で知られるようになると、一躍人気者となった。

国民民主党の多田ひとみ候補と玉木雄一郎代表(党の公式Xより)
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 岸田文雄前首相や石破茂首相も直撃するなど、大人顔負けの“記者魂”を発揮する川中記者は、新聞、週刊誌、経済誌などに取り上げられるようになり、また記事の執筆もしており、マスコミ関係者の間ではすでによく知られた存在だが、今回の活躍で評価は爆上がりだ。

 今年4月からは、テレビ大阪公式YouTubeチャンネルで『中学生記者・だいじの対談クラブ』という冠のついたレギュラー番組を持つようになり、政治家との対談も行っている。

 そんな川中記者は、国民民主党の玉木代表も直撃。その様子は、川中記者自身が『日刊ゲンダイ』に寄稿した記事で詳しく伝えられている。玉木代表の著書にサインをもらうふりをして近づき、本を差し出すと、玉木代表は快くサインを書き始めたという。川中記者は、その間に「多田ひとみ候補が兵庫県知事選挙で、斎藤候補のボランティアをしていたのを知っていて、公認されたんですか?」と質問を浴びせたのであった。

 川中記者が発案した「突撃著書サイン時間稼ぎ作戦」は成功したが、玉木代表は「はい、ちょっと待ってよ」「はい」「はい」「ありがとうございます」と、聞こえていないふりをしながら足早に去っていってしまったという。

 国会議員を目指す人間が、違法と認定された事実に対し「何が正しいかわからない」「ちゃんとした報道を」と寝ぼけたことを言い、また国政政党の代表は、都合が悪い質問をスルーする始末……。

 しかし、彼らの本質をあぶり出した川中記者の“取材スキル”には脱帽するしかない。我々も、大いに見習わなければならない。