振り返ると、3人はいろいろな場所でファンと共に夏を過ごしてきた。もう一度できるとしたら、どこでコンサートをしてみたい?
キャバレーから武道館まで、一つひとつが印象的
高見沢「どこだろう……。やっぱり'86年の(東京)ベイエリアかな。チケットのソールドアウトなしでやろう、と話していて結果、10万人コンサートになったあの場所は、記憶の中に鮮烈に残っています。もう一度あそこでやるには、土地をまっさらにしなくてはいけないけどね(笑)」
坂崎「あのときは何もなくて草がボーボーだったよね。もう二度とできないから、記憶に残っているんだろうな。でもさ、もう野外であの規模のコンサートをできる場所がないよね」
桜井「場所自体もそうだけど、最近は異常な暑さや自然災害も心配だよね。'80年代は暑いといっても30度くらいだったし、夕方になったら風が気持ちよかったじゃない」
坂崎「もう夏の野外イベントはできないだろうな……。でもその分、音のいいアリーナ

クラスの会場ができていますけどね」
積み重ねてきたコンサートも、3000本が見えてきている。
高見沢「ライブハウスも入れたら、もっと数は多いですけどね。ライブハウスでもいろいろやりましたね。○と×のプレートを作ってお客さんに渡して“今の曲どうでしたか?”って聞いたりしたよな」
桜井「聞くもんじゃないよね(笑)。相手に聞いてどうするんだ、って」
高見沢「こっちが提供するものだからね。今考えるとアホだよね(笑)。当時は良かれと思ってやったことが、全部裏目に出ていましたね」
坂崎「新曲キャンペーンに出てレコード屋さんの前とかね。キャバレーもやったな。僕が前説やって“では登場してもらいましょう、アルフィーです”って、僕もギター持って並ぶの。お客さんから“あれ、前説の人じゃない?”って言われたりして」
高見沢「キャバレーから武道館まで、一つひとつが印象的ですよ」
51年目を迎えても、立ち止まることを知らない3人。バンドとしての“還暦”まであと9年、どんな思いで続けていくのか?
桜井「今まで誰もやったことがないことですから、これから1年1年が“パイオニア”になりますよね。フロンティアを開拓していると思い続けることがいちばんかな」
取材・文/蒔田稔