新浪氏の今後を予測
もし、新浪氏が“クロ”の場合、どのような罪に問われるのか。「ユニヴィス法律事務所目黒オフィス」に所属する五十嵐良平弁護士に聞いてみた。
「麻薬をみだりに日本に輸入した場合、法定刑は1年以上10年以下の拘禁刑とされています。仮に新浪氏がこれを輸入していたとすれば、この規定に違反していることとなりますので、罪状としては麻薬及び向精神薬取締法違反ということになるでしょう。
刑期はケース・バイ・ケースですが、営利目的でなく初犯であり、捜査にも協力的であるということであれば、仮に有罪となれば執行猶予もあり得るのではないかと思います」
大騒動となったが、サントリー側は新浪氏に対して訴えを起こすことはできるのか。
「株式会社の取締役は、会社に対して損害を与えた場合、その取締役は損害賠償義務を負うことになります。プライベートでの不祥事でも責任を負うかは議論になり得るところだと思いますが、不祥事によって会社のレピュテーション(評判)を毀損するようなことがあれば、サントリーの立場からは損害賠償請求をすることが考えられます」(五十嵐弁護士)
新浪氏に対する法の判断は未知数だが、前出の鈴木氏は新浪氏の今後について、このような予想を語る。
「新浪さんは十分な実績を残しており、年齢的にも引退して相談役といった名誉職についてもいい人。しかし今回でキャリアに傷がついたことで、そのような栄転が難しくなってしまいました。おそらくですが、2年後くらいに名誉回復を兼ねて、どこかの社長に就任して再び手腕を発揮するのではないでしょうか」
新浪氏による反撃が始まるのか、それとも─。
鈴木貴博 東京大学工学部物理工学科を卒業後、ボストンコンサルティンググループ入社。経営コンサルティングの経験をもとに現在は経済評論家として、複数の経済誌への寄稿やメディア出演など多方面で活動
五十嵐良平 ユニヴィス法律事務所目黒オフィス所属(第一東京)。アンダーソン・毛利・友常法律事務所、山下総合法律事務所を経て独立後、事務所統合により現職。M&Aを中心とする企業法務と法務DXに注力