“池脇流”の役作り

 映画ライターによれば、

「主演映画は少ないですが、多くの話題作に出演し、その存在感を見せつけています。個性的な演技は好き嫌いが分かれるところでもありますが、監督・プロデューサーなど制作サイドではファンも多く、助演俳優としては欠かせない存在となっています。数えきれないほどのドラマや40本を超す映画に出演してきただけのことはありますね。30歳を過ぎてからは母親役を演じることが多くなっていますが、どの役もとてもリアリティーがあり、まったく違和感がない。彼女の演技力は誰もが認めるところです」

『ばけばけ』では、ヒロインの母親・フミを演じるが、これまで視聴者が抱いていたイメージとはかなり違う池脇がそこにいた。これが“池脇流”の役作りだ、というのは前出の映画ライター。

映画『男はつらいよ お帰り寅さん』プレミア試写会 囲み取材&舞台挨拶での池脇千鶴('19年12月)
映画『男はつらいよ お帰り寅さん』プレミア試写会 囲み取材&舞台挨拶での池脇千鶴('19年12月)
【写真】「すっかりお母さん」驚愕の声が集まった池脇千鶴の近影

「過去にも映画やドラマで、役作りのためにあえて太ったこともありますし、2つの作品を掛け持ちしているのも関わらず、片方の作品の監督に“太れ”と言われて、体重を増やしたこともありました。ロバート・デニーロの役作り法は『デニーロ・アプローチ』と呼ばれていて、役に合わせて顔かたちや体型まで変化させ、そして役にあった雰囲気までもを作り上げる演技法。池脇さんも、まさにそれです」

 彼女は2021年にファッション誌『SPUR』のインタビューでこう語っている。

《目指しているのは「安心して見てもらえる俳優」。物語にちゃんと溶け込んでいて、『実際にいてもおかしくないよね』って思ってもらえる。そんな俳優になりたいとずっと思っています》

 その想いはすでに10代のころから持っていたそうで、彼女の持つ“俳優魂”が伝わってくる。

 “大化け”した池脇が挑む『ばけばけ』に、期待はさらに膨らむ――。