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ー 豪華キャストは話題になったが…

 2025年10月1日、脚本家の三谷幸喜が手がけたフジテレビ系の連続ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』の第1話が放送された。25年ぶりに民放ゴールデン・プライム帯で放送される“三谷脚本”とあって期待されていたが、SNS上では厳しい声が上がっている。

豪華キャストは話題になったが…

 同作は三谷幸喜の半自伝的要素を含んだ青春群像劇で、菅田将暉、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波といった人気実力派俳優を多数起用。事前に発表されていなかった渡辺謙が“声の出演”を果たしていることが第1話の放送で判明するなど話題に事欠かないが、放送後に目立ったのは以下のようなコメントだ。

《今のところ三谷幸喜の新ドラマ全然おもしろくないけど大丈夫なのか》
《三谷幸喜新ドラマ、テンポ悪いしダサい 第1話でもういいや》
《三谷幸喜のドラマ、出演者やセットが豪華だけど面白くなりそうな雰囲気がないぞ…》

 早くも脱落者が出ているようだが、なぜ、これほど辛辣な評価にさらされているのだろうか。テレビ誌ライターが三谷の近年の作品に見られる傾向を指摘する。

「記憶に新しいのは、2024年公開の長澤まさみさん主演の映画『スオミの話をしよう』です。公開直後は好調で、興行収入30億円超えとも言われていましたが、実際は17億円ほど。近年の実写邦画としては決して低くありませんが、前作『記憶にございません!』のおよそ半分ほどで失速した印象は否めませんでした。

 脚本家として、数字も注目度も持っている三谷さんだからこそ期待値が高いという事情はあるにせよ、近年の作品には『昔のキレがない』という声が上がっているのは事実です」

 また、第1話の放送後にはこんな声もネット上に散見された。

《王様のレストラン見ちゃったからツラいなあ…》
《三谷さん、昔は最高に面白かったのにな》

『王様のレストラン』とは、松本幸四郎(現・二代目松本白鸚)や筒井道隆、山口智子が出演した1995年放送の三谷脚本のテレビドラマだ。いったいどういうことなのか。

じつは今回の新作ドラマの放送に合わせて、関東など一部地域で平日午後の時間帯に『王様のレストラン』が地上波で再放送されていたのです。『王様のレストラン』は人気シリーズ『古畑任三郎』の翌年の放送という、三谷さんの評価が急速に高まったころの作品で、今でも傑作と評されている代表作のひとつ。それを久しぶりに見た長年の三谷ファンからすると、今回の新作ドラマは満足できなかったのかもしれませんね」(前出・テレビ誌ライター)

 三谷幸喜といえば、三度手がけたNHKの大河ドラマも人気で、その一つである『新選組!』(2004年)が9月29日からNHKオンデマンドで配信されている。出演者の権利関係などにより長年配信されていなかったが、今回、20年以上の時を経ての初配信となった。新作ドラマから残念ながら脱落してしまった三谷ファンは、『新選組!』で“往年の輝き”に浸るのもいいかもしれない。