視聴者を魅了した人探し

 遠く離れたヨーロッパのルクセンブルクで見つかった日本人のアルバムという、少しミステリアスな題材と、一つ一つ結び目を解いていくような捜索過程のリアルさが面白くて、筆者もパソコンの手を止めて見入ってしまった。

 それは他の視聴者も同じだったようで、オンエア中からインターネット上には、

《たまたま見てる今日の『世界!ニッポン行きたい人応援団』めっちゃすごいわ》

《きまちゃん(※ゲスト出演していたJO1の木全翔也)目当てで見てるけど、なかなか面白そうな展開。見つかるかなー》

《卒業生の絆の強さと玉川学園駅界隈の地元愛が伝わってきて、感激!》

《こういう番組こそテレビで残して欲しい番組よね》

 などの声が相次いだ。

 もちろん実際には、画面には写っていない捜索過程もあったのだろうが、何より感動的だったのは、依頼主のアメリカ人女性の、持ち主に写真を返したいという純粋な気持ち。そのひたむきさに、スタジオ出演者の織田信成や高橋茂雄、若い木全翔也らも涙、涙の連続だった。

 ここでは、本編を見ていない方のために結末は伏せておくが、その内容は、作り事よりも事実の意外性が勝る感じで、まさにドラマよりもドラマチック。筆者はテレビ東京の、一般人を主人公にした台本の無いバラエティが大好きで、今回は番組の本来の主旨とは離れていたが、その魅力が存分に発揮された企画だった。

 見逃した人は1週間、Tverで観られる。感動の涙でデトックスしたい人も、ぜひご覧になってみては?

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。『3年B組金八先生卒業アルバム』『オフィシャルガイドブック相棒』『ヤンキー母校に帰るノベライズ』『IQサプリシリーズ』など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に『風景印ミュージアム』など。歴史散歩の会も主宰している。