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ー 秋ドラマで続々と「筑前煮」が登場
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ー 調理のポイントは「具材の大きさ」

 竹内涼真が「料理は女性が作るもの」という古い価値観を持った“化石男”を演じ、秋ドラマの話題を独占している『じゃあ、あんたが作ってみろよ(以下、じゃあつく)』(TBS系)。

 見逃し配信動画サービス『Tver』では第3話の再生回数が442万回を突破。23年8月放送の『VIVANT』第5話の419万回、昨年12月放送の『水曜日のダウンタウン』の企画「名探偵津田 第3話」の430万回を超え、同局歴代最高記録を塗り替えた。

秋ドラマで続々と「筑前煮」が登場

 彼女と破局した竹内演じる主人公が、彼女の得意料理である筑前煮を自分で作ってみたことを機に少しずつ成長していく物語だが、同局で放送中の『フェイクマミー』第6話でも筑前煮が登場して話題に。

 笠松将演じる“モラハラ夫”が「懐かしいよ〜」と言いながら頬ぼるシーンがあり、SNSでは筑前煮がトレンド入りした。

 また三谷幸喜が脚本を担当する『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)でも、浜辺美波が演じる巫女がお供え物の野菜でがめ煮(筑前煮)を作るシーンが。

 秋ドラマで「家庭の味」「ふるさとの味」の象徴として、筑前煮が立て続けに登場している。そもそも筑前煮とはどのような料理なのか、またなぜこのように扱われ、注目を浴びるのか東京・荒川区で「こども食堂サザンクロス」を運営している『NPO法人いきば』理事長の南谷素子さんに話を聞いた。

筑前煮をいただくのは年の始め、お正月のお節料理です。三々五々実家に集まる家族が楽しみにしているお節料理では、筑前煮がお重の一段を占領している家庭も少なくないはず。ただのごった煮ではない筑前煮は家に帰って来たという安心感があり、作ってくれた方の優しさがこもった一品。家庭の味を象徴する料理として登場するのも納得です

 家庭料理の象徴といえば、肉じゃがを思い浮かべる人も多いが……。

まずは肉じゃがでその方の料理の腕前を試してみて、“これはいけるかも!”と思ったら次は筑前煮に進む……というイメージです。筑前煮は具材ひとつひとつの下処理にけっこう手間がかかるため、愛情がなければ作ろうとはなかなか思えない料理。一晩置けば、さらに味わい深くなるためお泊まりした翌朝でもおいしくいただけ、お互いの愛情を確認できる。胃袋を掴むのに適した一品と言えるでしょう