子どもたちへ安心を届けたい

 初めてモンスターウルフを見た人は、そのインパクトに驚くことも少なくない。

「“本当に効くの?”と半信半疑の方も多いですが、長期検証の結果、“まったく効果がなかった”という声はほとんどありません。クマが苦手だとするLEDの赤いライトが効いているのか、特にクマに対して高い忌避効果が確認されています」

 さらに太田社長が重視するのが、“見守る存在”としての情緒的価値だ。

“地域の守り神”として愛着を抱かれることもあるという(太田精器株式会社)
“地域の守り神”として愛着を抱かれることもあるという(太田精器株式会社)
【写真】「見た目が怖すぎる」クマ対策で活躍する“モンスターウルフ”

「無機質な柵や電気線とは違い地域を見守る守り手の象徴にもなる。子どもたちも親しみを持ちやすく、“地域の守り神”のように愛着を抱いてくれるケースもあります」

 購入を検討する人へ太田社長はこう語る。

「獣害対策は長期戦。少し“面白くなければ”続かないという考えを大切にしています。まずは一度、実際に設置していただき、効果を体感してほしいと思います」

 現在は携帯型モンスターウルフや自動走行タイプなどの新たな開発も進行中だという。

“奇抜な発明”と揶揄されたウルフは、いまや深刻化する獣害問題の最前線で、その存在感を静かに強めている。